メガソーラー建設事業者が農地に違法工作物…ワイン用ブドウ畑広がる一大産地、道と市が撤去指導

北海道三笠市の達布山近くの農地で大規模太陽光発電施設「メガソーラー」の建設を計画しているカナダ資本の事業者が違法工作物を設置したとして、道と市が撤去するよう口頭で行政指導したことが17日、わかった。近く文書も送付する。周辺はワイン用のブドウ畑「ヴィンヤード」が広がる一大産地で、近隣住民や農家、ワイナリーはメガソーラーが及ぼす影響を懸念している。
事業者はカナダ資本の日本法人が出資する東京都の合同会社。同社が近隣住民に提供した文書などによると、計画地は三笠市川内の農地など計約80万平方メートル。2026年5月~28年7月に工事を行う計画で、今年1月と8月に近くの農場が所有する土地を取得する仮契約を結んだ。
道や市によると、農地に工作物を設置する場合、農地法に基づき道の転用許可を得る必要がある。一帯は市の「農業振興地域」に指定されているため、農業振興地域整備法に基づき、市の許可も必要となる。
ところが、今年11月下旬、近隣住民が不審な杭を見つけた。道と市が調査したところ、事業者がメガソーラーの建設に向けた地盤調査に使ったもので、農業用でも一時的な設置でもないことが判明した。農地転用の許可申請などは提出されておらず、違法な「工作物」と認定された。
一方、事業者は当初、住民らに「9~10月に地盤調査を実施したが、杭打ち作業はしていない」と説明していたが、実際には、調査で杭を打ち込み、そのまま放置したとみられる。杭は1か所につき複数本あり、少なくとも5か所で見つかった。
道は17日、事業者に電話で行政指導した。市と連携して近く文書でも指導する。関係者によると、事業者は道や市の聞き取り調査に対して「違法性の認識はなかった」と釈明し、「近日中に可能な箇所は抜き取る」と説明したという。事業者は読売新聞の取材に応じなかった。
近隣住民らは「農地保全の原則に反する前例となる」「大規模な造成やパネル設置は丘陵地やブドウ畑の景観を損ねる」などとして、11月4日に市長宛ての意見書を提出した。住民の一人は「現地での作業を近隣住民に知らせずに始めるのはおかしい。道や市はしっかり対応してほしい」と話した。

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