校長が「勤務時間改ざん強要」、公益通報のその後

人間誰しも、愚痴を聞いてほしいときもあれば、喜びを分かち合いたいときもある。それは学校の教員も同じだ。つらい経験に共感したり、笑い話にほっこりしたり、はたまた、成功体験をシェアしたり――、そんな学校現場の知られざる「リアル」をお届けしていく。
今回話を聞いたのは、公立高校教員の道木勇人さん(仮名)。校長から再三にわたって残業時間改ざんを強要され、県の教育委員会に公益通報したという。なぜ校長はそんなことをしたのか。そして、公益通報の結果はどうなったのか。
【エピソード募集中】本連載「教員のリアル」では、学校現場の経験を語っていただける方を募集しております(記事は仮名、詳細は個別取材)。こちらのフォームからご記入ください。
プロフィール 投稿者:道木勇人(仮名) 年齢:30代 勤務先:公立高校
仕事を持ち帰ることを促された…
「ちょっと今いいですか。お話があります」
【画像】文科省の資料には「虚偽の記録等について」で、「実際より短い虚偽の時間を記録に残す、又は残させることがあってはならない」とはっきり書かれている。
職員室で校長から声をかけられたとき、道木さんは「ついにきた」と感じた。
校長室へ向かうため自席から立ち上がり、さりげなくポケットに忍ばせておいたボイスレコーダーのスイッチを入れる。スマホの録音機能を使わなかったのは、着信で録音が途切れるおそれを考慮したからだ。
「すぐに勤務時間に関する話だと思いました。ほかに呼び出されるような心当たりはなかったからです。私の残業時間は、その年度ですでに月45時間超が6回に達していたので、一方的な責任追及や無理な要求をされるリスクを考慮し、小型のボイスレコーダーを用意していました」
道木さんをそうした行動に走らせる伏線はあった。その年度に入ってから、校長が急に残業回避を呼びかけるようになり、月の残業時間が45時間を超える教員に事情を聞くようになったのだ。
背景には、働き方改革がある。2019年の働き方改革関連法による労働基準法の改正に伴い、公立学校教員にも同様の残業規制が適用され、月の残業は45時間以内、やむをえず残業をする場合も「45時間を超える月は年間6カ月まで」などとなった。
加えて、文部科学省は20年1月に、教員の勤務時間が上限を超えないよう、適切な管理を教育委員会および校長に求める通達を出している。残業時間の管理が厳しくなったのも当然だろう。

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