【報ステ解説】最新『10式戦車』に何が…射撃訓練中に戦車内で“砲弾破裂”3人死亡

陸上自衛隊の「10式」と呼ばれる国産の最新式戦車で21日朝、射撃訓練中に砲弾が戦車内で破裂し、隊員3人が死亡、1人が重傷を負う事故が発生しました。専門家は「ほとんど経験したことのない、極めてまれなケース」と指摘しています。陸上自衛隊は事故調査委員会を立ち上げ、原因究明を進める方針です。
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射撃訓練中“最新戦車”に何が
大分県にある陸上自衛隊の日出生台演習場。午前8時39分ごろ、射撃訓練中に1台の戦車で事故が起きました。
119番通報

「射撃訓練中に戦車内で暴発し、4人が負傷」
陸上自衛隊西部方面総監部の発表では、砲弾が破裂し、戦車に搭乗していた隊員4人のうち、3人が死亡、1人が重傷です。事故を受け、小泉防衛大臣が取材に答えました。
小泉進次郎防衛大臣

「陸上自衛隊西部方面戦車隊が10式戦車により射撃訓練を行っていたところ、戦車の砲弾が砲内にて暴発し、戦車に乗車していた隊員4名のうち、3名が死亡、1名が負傷。事実関係の詳細や原因については現在確認中です」
日出生台演習場は、大分県の玖珠町と由布市などにまたがり、広さは約4900ヘクタール。陸上自衛隊の西日本最大の演習場です。午後3時半、陸上自衛隊のトップ、幕僚長が会見を行いました。
荒井正芳陸上幕僚長

「このたびは地元をはじめとする国民の皆様に、ご迷惑ご心配をおかけして誠に申し訳ございませんでした。亡くなられた隊員のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ご家族の皆様にお悔やみを申し上げます」
事故が起きたのは10式戦車。亡くなった隊員は、西部方面戦車隊所属の45歳の2等陸曹、31歳と30歳の3等陸曹の3人だということです。
荒井正芳陸上幕僚長

「事故の射撃で使用した砲弾は対戦車榴弾(りゅうだん)。90式戦車等でも使用している」

(Q.こういった事故は初めてか)

「現時点で10式戦車についてはないと認識をしている。改めて再度、過去事例等含めて細部確認をしていきたい」
10式戦車は、陸上自衛隊では4代目となる最新の国産主力戦車です。従来の戦車より小型・軽量化され、応答性と敏捷性に優れるとされています。乗員は、指揮官の戦車長と砲手、操縦手の3人となっています。しかし、事故が起きた戦車には4人が乗っていました。
荒井正芳陸上幕僚長

「今回の4名は、射撃訓練時に安全管理の観点から、安全係が同じ戦車に乗車をしていたので4名。通常砲塔内に2名、車長と砲手。車体部に操縦手1名。安全係は射撃訓練時、砲塔に席があるのでそこにいる」
砲塔とは、砲身がついた360度回転する部分のこと。ここにいた3人が亡くなりました。残る1人は車体部にいた操縦手です。砲弾は自動装填(そうてん)され、そのシステムと連携して、走行しながらの射撃が可能です。
荒井正芳陸上幕僚長

「砲弾の装填は射場内で行う」

(Q.砲弾が破裂した場所は)

「細部は確認中。砲塔内で破裂したと報告を受けている。私の経験の範疇(はんちゅう)では、砲塔内で弾薬が破裂したのは記憶、あるいは聞いたことはない」
この事故を受け、陸上自衛隊では10式戦車などの射撃訓練を中止。事故調査委員会を設置して原因を究明し、再発防止の徹底を図るとしています。
最新鋭『10式戦車』とは
陸上自衛隊によると、10式戦車は国産の最新鋭の戦車で、2010年から量産が始まっています。全長は約9.5メートル、重量は約44トン。大砲のほか、機関銃などを装備しています。戦車は、下の部分の車体部、上の部分の砲塔と呼ばれる2つに分かれていて、戦車の前方に伸びる砲身から砲弾が発射されます。今回は、この砲塔の内部で事故が起こりました。
陸上自衛隊の総隊司令官などを歴任した、元陸将・高田克樹さんに聞きました。
(Q.砲弾を発射する仕組みはどうなっていますか)
元陸将 高田克樹さん

「通常、10式戦車で砲弾が発射される時は、砲弾が自動で装填され、装填後は『閉鎖機」という砲弾を閉じ込める扉が自動で閉まり、発射ボタンを押すと同時に電気信号が送られ、砲弾が発射される仕組み。つまり、閉鎖機が完全に閉まっていないと発射できない仕組みになっている。閉鎖機の不具合も考えにくい」
現時点では、原因を推定する材料もかなり少ない状況ですが、その上で高田さんは、ごく稀に起こる現象に着目していました。
元陸将 高田克樹さん

「可能性は極めて低いが“不発射”が関係しているのではないか。不発射とは、砲弾が遅れて発射されたり、発射されなかったりすること。砲弾が自動で装填されると、閉鎖機が自動的に閉まり、発射されるが、すぐに発射されない場合、一定時間待つことが規則化されている。遅れて発射される場合もあるが、それでも発射されない場合は、隊員が手動で閉鎖機を開けて砲弾を取り出す“抜弾”という作業が行われる」
(Q.不発射が起こると、どんな危険性がありますか)
元陸将 高田克樹さん

「あくまで可能性の1つだが、不発射が起きて、隊員が閉鎖機を開けて砲弾を取り出す対応を取ろうとした際に、何らかのトラブルが起きたのではないか。例えば、扉を開けた後に、砲身の中で弾が爆発した可能性。もしくは、弾を取り出す際に爆発した可能性などが考えられるのではないか。ただ、経験上、確率は極めて低い。大変残念な事故で、丁寧な原因究明と再発防止を図ってもらいたい」
自衛隊は「爆発の原因の調査を進める」としています。

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