富士登山「安全」「親しみ」両立模索…弾丸登山ほぼなくなる・親子連れ減少で子ども料金設定に向け調査

昨年初めて全面的な登山規制を実施した富士山で、7月の開山を前に今季の登山の事前登録が始まった。静岡、山梨両県は入山料・通行料の徴収など規制の枠組みを維持する一方、静岡県側で子ども向け料金の設定に向けた調査を行ったり一部ルートで開山日を早めたりし、「安全で親しみやすい山」へ模索を続けている。(静岡支局 大坪祐市、富士吉田通信部 涌井統矢)
「今シーズンも世界文化遺産・富士山の保全と登山者の安全確保のため登山規制を実施します。ご理解とご協力をお願いします」。静岡県の鈴木康友知事は4月27日の記者会見で呼びかけた。山梨県は同日から登山客の事前登録を開始。静岡県は5月8日から始める。
同県は昨年、公式アプリによる事前登録を導入。〈1〉入山料4000円の納付〈2〉登山ルールの事前学習〈3〉午後2時~翌午前3時に入山する際の山小屋予約――を義務づけた。夜通し登る弾丸登山は激減し、県警によると、開山期(7~9月)の遭難者は前年比28人減の36人、死者・行方不明者は6人減の0人になった。
一足先に2024年から登山規制を導入した山梨県も昨年、2000円だった通行料を倍の4000円にするなど足並みをそろえた。弾丸登山はほぼなくなり、夜に山小屋の前で防寒シートや寝袋にくるまって仮眠をとる登山者の姿も見られなくなったという。
一方、一部で「富士山離れ」も顕著になった。静岡県側の御殿場ルートでは登山者が前年比で半減。トレイルランの練習で頻繁に登っていた愛好家が入山料を敬遠したとみられている。
県や山小屋関係者の総括では「親子連れが減った」との指摘もあった。親子4人で登ると入山料は1回で計1万6000円。家族連れの予約が1、2件にとどまった山小屋もあったという。そのため、子どもの入山料を学校行事以外でも減免する制度の導入に向け、県は今年、入山者の年齢調査を行う。
また山梨側で7月1日、静岡側で同10日と例年異なっている開山日についても、静岡県は初めて3ルートのうち須走ルートを同1日に前倒しする。頂上近くで山梨側の吉田ルートと合流しており、開山日を合わせることで富士登山者の6割を占める吉田ルートの混雑を緩和するほか、閉山中の須走ルートに人が迷い込むのを避けるねらいがある。
同ルート5合目にある東富士山荘の米山千晴代表(75)は、開山日のずれがなくなることで「急な雷や強風の際も須走側の山小屋で登山者を受け入れる対応ができる」と話す。
立教大の西川亮准教授(観光政策)は「持続可能な観光にしていくためには、リピーターや若者が登りたくなるような動機付けが求められる。子どもに親しみやすさを持ってもらうため料金負担を減らす措置は合理的だ」と話している。

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