脳梗塞で損傷を受けた脳が自然に治ろうとする仕組みを解明し、その回復力を持続させる化合物を東京科学大などの研究チームが開発した。脳梗塞の後遺症を減らす新たな治療法につながると期待され、14日、英科学誌「ネイチャー」に論文が掲載された。
脳梗塞の患者は、発症後しばらくはリハビリなどにより、失った脳機能を部分的に取り戻せるが、2カ月ほどたつと回復力を失うことが知られている。しかし、その詳細な仕組みは分かっていなかった。
そこで研究チームがマウスの脳で確かめたところ、脳梗塞をきっかけとして、脳の免疫細胞「ミクログリア」が神経の修復を助ける物質を分泌することが判明。生き残った神経細胞同士がつながるなどして、脳機能が回復することが分かった。一方で発症から2カ月ほど経過すると「ZFP384」というタンパク質が働き、ミクログリアが回復力を失うことも発見した。
そこで研究チームは、ZFP384を阻害する化合物を開発。脳梗塞を起こしたマウスの脳に投与したところ、発症から約2カ月後も回復力が持続し、投与されていないマウスよりも症状が改善した。東京科学大の七田崇教授は「自然な回復力を持続させるという新しい治療概念だ。患者に薬として届けられるよう研究を進めたい」と述べた。(松田麻希)