「熊がでるなんて、初めてだよ、ありえない!」──いま、宇都宮市内は熊への恐怖で震えている。6月9日に熊1頭がついに捕獲されたが、現地は一体どんな状況だったのだろうか。【前後編の前編。後編を読む】
事態の発端は6日、長岡町の公園近くの山林と、富士見が丘の公園付近で黒い大きな獣が目撃された。夜には目撃者が撮影した映像によってクマであることが確定。上大曽町でも目撃が相次ぐなど、住宅街の暗がりを体長1メートルに及ぶ野生動物が徘徊するという事態に。全国紙社会部記者が、こう振り返る。
「驚くべきは、翌7日未明から早朝にかけての移動距離とルートです。塙田の県立図書館付近に現れたかと思えば、中心部のオリオン通りを抜け、さらには明保野公園、宇都宮高校、姿川中学校の周辺へと一気に南下しました。山へ戻るどころか、まさに市街地のど真ん中を縦横無尽に移動し始めたのです」
深夜から明け方にかけて、市民が寝静まる間に、誰もが知るランドマークや学校のすぐそばをクマが駆け抜けていく──。この脅威に、宇都宮市は同日午前7時、「危険鳥獣対策本部」を設置し、警戒を呼びかける事態となった。
「500件近い問い合わせがあり、対策本部は終日対応に追われています。市役所も皆が『熊、熊、熊』と異様な雰囲気になっていますよ」(宇都宮市役所鳥獣対策グループ職員)
平穏な日常を脅かした”黒い影”
70年以上の歴史を持つ宇都宮オリオン通り商店街は、同市の中心部に位置する。振興組合の松田法子事務局長も、防犯カメラの映像に目を疑ったという。
「古くからやっているお店の方も『熊がでるなんて、初めてだよ、ありえない!』と驚いていました。私も当日のお昼過ぎに商店街の防犯カメラを確認したんですが、確かに熊が映っていて、びっくりしましたよ。まさか、宇都宮の駅前の商店街にでるなんて……」
カメラが捉えたのは、6月7日午前2時過ぎ。釜川の一ツ橋付近のアーケードを歩いていた若い男性2人の目の前を、体長1メートルほどの熊が横切る姿だった。
「日曜日だったので、他にも若いお客さんたちがアーケード内には結構いて、車も通っていたので、熊も驚いているようでした。人を襲う事なく逃げ去っていったらしいです。人的な被害はなくて良かったですが、これからは熊対策をしないといけないなと痛感しています」(松田事務局長)
松田氏は直ちに県庁へ赴き、「クマ遭遇注意」のチラシを約300枚手配。商店街の各店舗への配布に追われた。「メディア対応に追われていて、疲弊しています。とにかく、宇都宮には熊が出るということを認識しなくてはならないと痛感しました」と強い危機感を募らせる。
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