東京都が生成AI活用ガイドライン 事例や具体的な質問方法示す

東京都は23日、対話型の生成AI(人工知能)「チャットGPT」の業務利用を開始し、併せて職員向けの「文章生成AI利活用ガイドライン」をホームページで公表した。ガイドラインでは、質問文を英訳して入力すると回答パターンが飛躍的に広がるなどの具体的な活用方法に多くページを割いた。外部有識者として策定を補助した筑波大人工知能科学センターの岡田幸彦教授(ウェブ情報学)は「都職員だけでなく、さまざまな人にガイドラインを利用してもらいたい」と話している。
ガイドラインは69ページ。守るべきルールとして、機密性の高い情報を入力しないことや、生成された回答の根拠を確認することを挙げた。一方で、利用促進のために全体の半分以上を割いて活用事例や具体的な質問の入力方法を示した。
まず効果的な活用のために、AIの応答を生成する指令文(質問)である「プロンプト」づくりのコツを盛り込んだ。ガイドラインによると、「あなたは東京都の職員で、○○の責任者です」といったようにAIの「立場」を明確に示し、「目的」を整理した上で、文字数や言語など出力する「形式」を具体的に指定することが有効だという。
さらに、いったん回答を得たうえでプロンプトを重ねると、より良い回答を導くことができるとしている。例えば「以下のホームページの内容を要約してください」と質問して回答を得た後、「要約した内容を小学3年生でも理解できるような言葉でまとめてください」と追加で指示すると、より多くの人に分かりやすい表現で要約された文章が示される――としている。
都は生成AIの業務利用場面として、要約・翻訳やアイデア出しなどを想定している。約300人が所属するデジタルサービス局内での試行を踏まえ、ガイドラインには、日本語の質問をあらかじめ英訳させ、回答も英語で作成させるといった技術も盛り込んだ。チャットGPTが学習した情報は日本語より英語のものがはるかに多いとされ、生成される情報量が格段に増えるという。
岡田教授は「自治体のガイドラインは『これはやってはいけない』というネガティブな部分が多かったが、『こういうふうに使おう』ということを強調して策定した。世界中の知見を基に、一番合った施策を展開できるようになる」と語った。【秋丸生帆】

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