解体直前の庁舎で「サバゲー」に中止要望、市長応じず「戦争と直結するのはいかがなものか」

解体直前の静岡県島田市役所旧庁舎を舞台に26日に開かれるサバイバルゲーム(サバゲー)を巡り、賛否が議論になっている。民間事業者からの提案を受け、市が開催を認めたものの、ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザでの戦闘が報じられる中、一部市議らが中止を要望。染谷絹代市長は21日、自身の参加を取りやめる意向を表明する事態となった。
サバゲーは参加者が安全対策を取った上でエアガンを撃ち合って戦うゲーム。今回は焼津市内の事業者「スペシャルフォース」が島田市に提案。1962年建築で10月に使用を終えた鉄筋コンクリート4階建ての旧庁舎を有償で借り、27日からの解体工事の前日に開く。既に電気、水道、ガスは使えない状態という。
同社が参加者を募ると、県内や首都圏などから申し込みが殺到し、半日で100人の定員が埋まった。当日は複数のチームに分かれて戦う。フルフェースマスクで顔を保護するなど安全対策を取る。美濃部哲平社長は「市役所の旧庁舎でサバゲーができることは珍しく、島田市の柔軟な対応に感謝している。運動をしたくて参加する人も多い」と話す。
一方、開催を知った一部市議が、市議6人の連名で市民有志らと一緒に、中止を求める要望書を市に提出した。呼びかけた森伸一市議は「停戦や平和を求める声が高まっているこの時期に実施すれば、市のイメージを低下させ、市民を失望させかねない」と指摘する。
使用を認めた経緯について、染谷市長は公共施設の民間提案制度に基づき、「職員でつくる審査委員会で審査して合格した」と説明。「スポーツとしてルールにのっとって行うゲームであり、戦争をイメージするものと直結してしまうのはいかがなものかと考える」と話し、中止要望には応じない考えだ。
一方で、自身の参加は取りやめ、「私は平和の尊さを自覚している。市長が戦争や平和を軽く考えているのではと誤解を招くことのないようにしたい」などと話した。

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