弟の尊厳、無視しないで 時速194km衝突の交通事故遺族らが講演

犯罪被害者団体ネットワーク「ハートバンド」が25日、犯罪被害者週間全国大会2023を東京都内で開いた。大分市で時速194キロで走る対向車に衝突され死亡した会社員、小柳憲さん(当時50歳)=同市=の姉、長文恵さんが講演した。「私の大切なたった一人の弟が亡くなり、この日から犯罪被害者遺族となった。奪われた(弟の)命、苦しみや無念さは計り知れない」と語った。
講演では長さんのほか、01年の大阪教育大付属池田小無差別児童殺傷事件で亡くなった本郷優希さん(当時7歳)の妹らが登壇した。
小柳さんの事故は、21年2月、当時19歳の男性(22)が法定速度の3倍超で車を運転、交差点で右折しようとしていた小柳さんの車と衝突した。大分地検が22年7月に自動車運転処罰法違反(過失運転致死)罪で男性を在宅起訴。しかし遺族らの署名活動などの結果、地検は同年12月、より刑の重い同法違反(危険運転致死)罪に訴因を変更した。
長さんは講演で担当検事に「法の中で視点や解釈を変えて、私たちと一緒に闘ってほしい」と伝えたことを明かした。長さんは7月、全国組織「高速暴走・危険運転被害者の会」を発足させ、共同代表となっている。
小柳さんの事故については初公判の期日がまだ決まっていない。長さんは「生命の尊厳を無視し、被害者を守らないことになる曲がった法の解釈を正してもらいたいと裁判を待っている」と訴えた。【井土映美】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする