こども家庭庁は来年度から、孤立や貧困などのため生活支援が必要な「特定妊婦」について、一元的な相談窓口となる拠点を都道府県や政令市などに整備し、1施設あたり最大2800万円程度の運営費を補助する方針を固めた。
生活支援の拠点は主に、都道府県や政令市などが来年度以降に開設する「生活援助事業所」が担うが、民間事業者が運営することもできる。
事業所には、看護師や助産師の資格を持つ職員を配置し、当事者の家庭環境などを踏まえ、経済的な自立を含めた支援計画を策定する。一時的な住まいや食事の提供のほか、児童相談所や医療機関など関係機関と連携し、行政手続きや医療機関の受診への同行なども想定している。
特定妊婦は、妊娠届を提出する際のやりとりなどを基に自治体が「特に支援が必要」と判断した妊婦で、2009年施行の改正児童福祉法に明記された。厚生労働省によると、20年度の特定妊婦は8327人に上り、09年度と比べて約8倍に増えた。「実態はさらに多い」(同庁幹部)との指摘もあり、育児放棄や虐待を防ぐ観点からも対策が急務となっている。