京都アニメーション放火殺人事件の裁判で、「量刑」についての審理が始まりました。遺族からの質問に青葉被告は答えることはなく、遺族は「辛い一日になった」と話しました。
【寺脇(池田)晶子さんの夫】
「もう一度被害の大きさというものを考えてほしい」「ありのまま正直にしゃべってほしい」
社員36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件で、妻の寺脇(池田)晶子さんを亡くした夫が27日開かれる17回目の公判で被告人質問をするため、裁判所へ向かいました
殺人や放火などの罪に問われている青葉真司被告(45)。9月から裁判が始まり、これまで「動機」「責任能力」について審理されてきました。
最大の争点となっていた「責任能力」の有無に関して、検察側は「犯行は被告のパーソナリティーが表れたもの」と主張。
一方、青葉被告はこれまで「京アニに小説内容をパクられて根に持った」と主張。
弁護側は、起訴後に鑑定した医師が「重度の妄想性障害」があったとした点を挙げて「妄想の世界の中で体験や怒りが、善悪の区別や制御する能力を失わせた。被告に責任能力があったとは言えない」と訴えました。
27日からの裁判は、被告に言い渡す刑の種類や程度を決める「量刑」についての審理です。
午前11時前に始まった裁判。検察は冒頭陳述で「筋違いの恨みによる復讐で、類例なき凄惨な大量放火殺人事件であることを重視すべきだ」と主張。
一方、弁護側は「死刑がなぜ認められるか、考えながら審理に臨んでほしい」と述べました。
27日の公判では話を聞いている間は、頭を傾けたり、軽くうなずいたりしていた青葉被告。
午後に寺脇(池田)晶子さんの夫からの被告人質問を迎え、「『涼宮ハルヒの憂鬱(寺脇さんがキャラクターデザインを担当)』は今でも好きですか」と問われると、青葉被告は「後々答えさせていただくので、答えるのを差し控えたいと思います」と述べました。
また「あなたは京アニに対して怒っているときもあれば、時には感銘を受けた会社として、少しでも感謝を感じる時期はありましたか」と聞かれると、青葉被告は「すいません、質問の答えは差し控えたいと思います」と述べ、質問に対して正面から答えることはありませんでした。
裁判を終え、寺脇(池田)晶子さんの夫は・・・
「一体、裁判って何のためにあるんだろうなって疑問を持ってしまうような内容でした」
「晶子が聞きたいであろう、子どもが聞いてきてくれって言った内容を、約束通り聞けなかったというのは、本当につらい」
「初公判からきょうにかけて一番つらい一日になってしまいましたね」