「残りの人生の全うを」と裁判長 母親の首を絞め殺害、男に懲役3年 神戸地裁判決

同居する母親=当時(91)=の首を絞めて殺害したとして殺人罪に問われた神戸市垂水区の無職、樫原正弘被告(69)の裁判員裁判の判決公判が28日、神戸地裁で開かれた。松田道別裁判長は「犯行に至る経緯、動機には酌むべき事情がある」として、樫原被告に懲役3年(求刑懲役5年)を言い渡した。
松田裁判長は判決理由で、被告人が妻を亡くした後に自殺を考えるようになり、次男家族への資金援助による金銭的困窮もあって、「自分が死ぬなら母親を殺すしかない」と考えたと指摘。落ち度のない母親の命を一方的に奪ったことは、人の生命を軽視した犯行と断じた。
一方で、「被告人なりに周囲のことを思って犯行を決意したものである」として、自己中心的な動機に基づく犯行とはいえないとした。最後に樫原被告に対し、自身の命を粗末にすることなく、残りの人生を全うして母親の命を奪った責任を取るよう説諭した。
判決によると、樫原被告は、5月30日夜、自宅で殺意をもって母親の首を両手で絞めて殺害した。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする