海外の臓器あっせん事件、NPO法人理事長に懲役8月の実刑判決…臓器移植法での違法判断は初めて

NPO法人「難病患者支援の会」(東京)による海外での臓器あっせん事件で、臓器移植法違反(無許可あっせん)に問われたNPO理事長の菊池 仁達 被告(63)に対し、東京地裁は28日、懲役8月(求刑・懲役1年、罰金100万円)の実刑判決を言い渡した。NPO法人は求刑通り罰金100万円とした。
1997年の同法施行以来、海外移植のあっせんが違法かどうか判断されるのは初めて。
菊池被告は2021年1月~昨年7月、厚生労働相から臓器あっせん業の許可を得ずに、肝硬変の40歳代男性と腎不全の50歳代男性にベラルーシでの移植を勧誘し、移植費用などとして計5150万円をNPOの口座に振り込ませ、同国の病院で移植手術を受けさせたとして、起訴された。40歳代男性は移植手術の約9か月後に死亡した。
菊池被告側は今年6月の初公判で、事実関係に間違いはないとする一方、「海外での移植手術に日本の法律は適用されない」などと主張。冒頭陳述や最終弁論で「臓器を提供する側と移植を実施する側とを仲介しておらず、あっせんにはあたらない」とも訴えた。
最終意見陳述では、菊池被告が「恥ずべきことは何一つない。世の中のためにやってきた自負がある」と述べていた。
これに対し、検察側は冒頭陳述や論告で、菊池被告が移植希望者の募集やベラルーシの病院との連絡調整を日本国内で行っていたとし、「あっせん行為の一部が日本国内で行われ、厚労相の許可が必要だった」と指摘。弁護士や大学教授とのオンライン会議でNPOの活動について違法の可能性が伝えられたとも述べ、「被告は違法性を認識しながら犯行を繰り返した」と主張していた。

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