39歳母、2児殺害の疑問 育児「参考になるくらい」 地検起訴

「産んでくれてありがとうって手紙をくれたの」と喜ぶ母を、関係者は「子供をすごく大切にしていた」とみる。にもかかわらずなぜ我が子を手に掛けたのか――。水戸市平須町のアパートで幼い兄妹が死亡した事件で、水戸地検は1日、母親の太田亜紀子容疑者(39)を殺人罪で起訴した。公判での真相解明が期待される。
起訴状によると、太田被告は7月23日午後11時50分ごろから24日午前6時半ごろまでの間に、自宅で長男継真(けいしん)さん(当時8歳)と長女梨心(りこ)ちゃん(同5歳)の首を包丁で1回ずつ突き刺し殺害したとされる。地検は約3カ月の鑑定留置を経て、刑事責任能力を問えると判断した。
捜査関係者によると、太田被告は「2人を刺した後自分も死のうと思った」という趣旨の供述をした半面、詳しい動機は判然としないないという。
近所の住民らによると、一家は3人暮らしで、太田被告がパートで暮らしを支えていた。空手道場に通う継真さんが太田被告と近所で練習する姿はよく見られており、兄妹を知る男性は「人懐こく、ちゃんとあいさつもする子たちだった」と惜しむ。
保育園に通っていた梨心ちゃんは活発で、砂場でスコップを使って遊ぶのが好きだった。ご飯を食べる時は口を大きく開き、顔をくしゃっとさせる癖があったという。男性は「幼いのに大人と同じ視線でしゃべる、気が強いおませさんだった」と目を細める。
継真さんは妹の面倒見が良く、働く母をおもんぱかって仕事を「手伝う」と言い出すことも多かった。「産んでくれてありがとう」と手紙を渡したこともあるという。
近くの女性は、太田被告の子育てを「参考になるくらいだった」と振り返る。特に覚えているのは、子供たちが物を壊してしまった時のこと。太田被告は2人を問い詰めることなく、「正直に言ってくれてありがとう」と笑いかけていたという。
関係者によると、太田被告は事件の約1週間前から仕事を休んでいた。その間に何かあったのか――。4カ月以上が経過した現場のアパートにはお菓子とジュースがひっそりと供えられていた。【西夏生、森永亨】

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