「小池さんは生きてる限り諦めるなんてことはない」永田町で燻る〈小池都知事=ポスト岸田説〉を元側近・維新音喜多氏が分析

「小池さんは(総理大臣を)まだ諦めてないと思ってます。小池さんは生きてる限り諦めるなんてことはないですよ」
こう語るのは日本維新の会の音喜多駿政調会長。音喜多氏は東京都議会議員当時の2017年、小池百合子都知事が率いる都民ファーストの会に所属し、都議団幹事長も務めていた。そんな音喜多氏が12月7日、文藝春秋ウェビナー「 青山和弘の永田町未来caf 」に出演し、派閥パーティー問題で自民党に大激震が走る中での小池知事の国政復帰、ポスト岸田となる可能性について語った。
「小池さんが安倍派と二階派、二つ押さえれば……」
小池知事はこのところ、自民公明両党との距離を縮めつつある。12月10日に投開票された江東区長選挙では、都民ファーストの会が自民公明と相乗りする形で東京都の元職員を擁立し、当選を果たした。これは表面上、来年7月の都知事選挙での小池知事の3選を自公が支援する流れの一環だと見られているが、音喜多氏はそれにとどまるか分からないと話す。
「(小池知事が)都知事を3期で終わるのか、自民党が窮余の策として『誰か外から人を』という時に小池知事に白羽の矢を立てるのか。そういう可能性に向けて彼女はありとあらゆることをやると思います。僕も話を聞いていると、これからの市長選挙も(小池知事は)自民党都連と話がついていますから。カウンターパートは萩生田(光一)政調会長ですね」
追い詰められた自民党が小池知事を国政に迎え入れるという、奇策の可能性はあるのか。番組に出演した国際政治学者の三浦瑠麗氏は疑問を呈した。
「小池さんを担ぐ存在として萩生田さんは十分なんですか。だって今、(萩生田氏が所属する)安倍派はガタガタですよね。それに(小池さんを担ぐと)自民党は結構とんでもないことになるというか、やり手の小池さんにいいようにされちゃうんじゃないですか」
しかし音喜多氏は、萩生田氏と小池知事の利益が一致する可能性があると指摘した。
「萩生田さんと小池さんはウィンウィンの関係もあるんです。萩生田さんは(東京で)公明党との交渉に失敗して厳しい立場にありますが、公明党との接着剤として小池さんほどふさわしい人はいないわけです。一緒に担ぐことで自公の手打ちもできます。また今派閥がぐちゃぐちゃになってるところで、安倍派が助け船として小池さんを迎え入れて、小池さんは二階(俊博)元幹事長とは強いパイプがありますから、安倍、二階の二つ(の派閥)を押さえれば、岸田派、茂木派、麻生派と戦えるようになるわけです。そうすると結構熱いバトルになる気がします」
自公過半数割れの可能性に「ちょっと困っている」
今後、小池知事と自民党の動きを注視する必要があるだろう。一方、日本維新の会はこの臨時国会で、政府提出の今年度補正予算に賛成した。大阪関西万博の予算が盛り込まれていたとはいえ、岸田総理肝いりの経済対策を支持した形だ。
こうした中、筆者は次回の衆議院選挙の結果次第で、維新が自公と連立政権を組む可能性があるのではないかと質した。これに対して音喜多氏は、悩むことを認めつつも踏みとどまるべきだと強調した。
「今党内で議論になってるのが、もしかしたら次回で自公過半数割れがあるかもしれないねと。僕らも10年計画で、あと3回の選挙で(政権を取る)とか言ってたのに、次回となると連立の組み替えとかいろんな力学が働いてくるので、ちょっと困ってます。
大臣ポスト二つ三つ渡すって言われれば、心が動く人もいると思います。ただ向こうは海千山千ですから、(連立を組めば)飲み込まれて自民と差別化できなくなって、維新の良さがなくなって支持者も離れる。僕は、ここは1回我慢して踏みとどまって、その次の選挙で政権交代を目指す路線でいくべきだと思います」
混乱を極める政治状況の中で、維新がどう立ち回るのか。今後の日本政治の行方を左右することは間違いない。

音喜多駿政調会長が出演したオンライン番組「 青山和弘の永田町未来caf 」は、「文藝春秋 電子版」で アーカイブ配信 を観ることができます。
(青山 和弘/文藝春秋 電子版オリジナル)

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