海上保安庁によると、12日午前8時17分ごろ、航行中だった九州郵船の旅客船・ヴィーナス2から「エンジンがかからなくなった。南に流されている」と通報があった。乗客の安全確保のために、巡視船などが急行。その後、エンジンの復旧に成功し、自力で最寄り港に向かった。
◆乗客47人を乗せたまま一時「漂流」
船が漂流したのは、長崎県壱岐市芦辺町から北に約1300メートルの沖合。海上保安庁羽田航空基地の特殊救難隊や、福岡保安部などの巡視船などの航空機4機、巡視船など4隻が、ヴィーナス2の漂流している海域に急行した。海上保安庁によると、子供1人を含む乗客47人は救命胴衣をつけて、船上で救助を待った。乗客と乗員5人にけがをした人はいない。午前8時46分ごろには、錨を下ろすことに成功。これ以上流されるおそれは低くなった。そして、午前10時9分ごろにエンジンが復旧して、自力で航行できるようになり、最寄りの芦辺港に向かった。
午前8時17分:エンジン停止「漂流」の通報
午前8時46分:錨を下ろすことに成功
午前10時9分:エンジンが復旧
◆乗組員らが“自走”を目指して復旧作業
九州郵船によると、乗組員たちは、エンジンが止まった後、最寄りの芦辺港まで“自走”することを目指して、船の復旧作業にあたった。応急処置ができず、自走が難しいと判断されれば、巡視船などに曳航を依頼することも検討したが、エンジンが再びかかったことで、自力航行に戻った。
◆時速75キロの航行能力
九州郵船のヴィーナス2は全長30.78メートル(水中翼を上げた状態)、総トン数は163トン。時速75キロで航行する能力がある。博多~壱岐(郷ノ浦、芦辺)~対馬(厳原、比田勝)の航路がある定期船。当時、現場海域の波の高さ2.5メートルで高かった。一時、漂流したヴィーナス2は、12日午前7時に長崎・厳原を出発して、福岡・博多に向かっていた。