立民、「二の矢」内閣不信任案提出へ…与党はさらなる世論の逆風懸念

国会は13日の会期末に向け、与野党の攻防が大詰めを迎えている。松野官房長官に対する不信任決議案は12日に否決されたが、立憲民主党は「二の矢」として岸田内閣への不信任案を提出する方針だ。内閣不信任案の審議では激しい政府批判が繰り広げられるとみられ、与党はさらなる世論の逆風を懸念している。
「(松野氏は)政府のスポークスマンとしての役割は実行してきた。しかし、取り沙汰されていることが不問に付されることはない」
公明党の山口代表は12日の記者会見でこう述べ、松野氏への不信任案に反対の意向を示した上で、政治資金問題での責任にも言及した。岸田首相は松野氏を交代させる方針を固めており、野党の「不信任案を否決したのに更迭するのは支離滅裂だ」(立民の安住淳国会対策委員長)との批判を意識したものだ。
今国会に提出された法案のうち、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた議員立法の財産管理特例法案や、政府提出の国立大学法人法改正案などは審議中で、与党は13日の参院本会議での成立を目指している。内閣不信任案提出のタイミングによっては成立が遅れる可能性もあり、与党は野党の出方を注視している。
一方、立民の泉代表は12日、国会内で記者団に「自民党は自浄作用がなくなっている。岸田内閣は総辞職すべきだ」と語り、対決姿勢を強めた。
内閣不信任案を巡り、立民は12日の幹部会合で泉氏に対応を一任した。会合に出席した立民幹部は「ようやく提出する方向となった」と説明する。立民は財産管理特例法案に賛成しており、積み残しの法案の成立を待ってから提出する案などが検討されている。
これまで提出の是非が決まらなかったのは、内閣不信任案を契機に会期が延長されて捜査に支障を来すことへの懸念のほか、衆院解散を誘発する警戒から、党内に提出への慎重論が一定数あるためだ。
ただ、党内では「この状況で政治的意思を示さないのはあり得ない」との声が大勢を占めたほか、他の野党からも提出を求める声が相次いでいた。過去の内閣不信任案では反対したこともある日本維新の会の馬場代表は、12日の党会合で「今回出さなければいつ出すのか」と注文をつけた。与党との協調路線を取る国民民主党も「今の政治状況では不信任案に反対する理由はない」との立場だ。
党内外の突き上げを受けて提出する方向となった経緯に、立民内では「野党第1党としてのリーダーシップがなく迫力に欠ける」との指摘も出ている。

立憲民主党の岡田幹事長は12日の記者会見で、自民党派閥の政治資金問題を受け、来年5月に予定していた党の政治資金パーティーを中止すると発表した。岡田氏は「今の状況を見ると、現時点で具体的な計画は持たない方がいい」と語った。
日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)も12日、大阪府庁で記者団に対し、地域政党・大阪維新の会が毎年開いているパーティーについて「やめるのも選択肢だ」と語った。

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