日本大学アメリカンフットボール部員の違法薬物事件で、日大の臨時理事会が15日、開かれ、アメフト部の廃部を正式決定した。日大は今後、競技継続を望む現役部員や新入生の受け皿となる後継団体の設置を検討するとしている。
日大広報部などによると、理事会にはアメフト部の現主将と次期主将の2人が出席し、部でまとめた再建案を示して廃部方針の撤回を訴えた。関係者によると、その後の協議で理事の間からは「廃部やむなし」の声があがる一方、「具体的な学生救済策が示されていない」との意見も出た。最終的に採決となり、11対9で廃部が決まったという。今後、酒井健夫学長の決裁で廃部の手続きが完了する。
日大広報部は本紙取材に「断腸の思いで下した判断。アメフト部をいったん廃止し、部の再建を検討する予定だ」と回答した。近く、部員と保護者への説明会を開催するという。理事会では役員人事なども決定した。
日大の決定を受け、文部科学省幹部は「看板の掛け替えに終わらないよう、再発を防ぐ体制づくりが行われるか注視したい」と話した。
違法薬物事件では、部員3人が麻薬特例法違反容疑などで逮捕され、1人が書類送検された。日大の学内会議は11月28日、アメフト部の廃部方針を決定。一方、現役部員13人が翌29日、廃部方針撤回の要望書を大学に提出するなどし、12月1日の理事会では部の存廃を継続審議としていた。
日大アメフト部は1940年創部で、学生王者を決める甲子園ボウルでは21回優勝の強豪。関東学生アメリカンフットボール連盟関係者によると、廃部に伴って連盟を退会すれば再加盟が必要で、その場合は審査を経て準加盟となり、通常は最下位リーグから再出発する。正式加盟までは上部のリーグに昇格できない。