鹿児島市で2018年9月、市立中学3年の男子生徒(当時15歳)が自殺したのは、担任だった女性教諭の不適切な指導が原因として、遺族3人が14日、同市に慰謝料など計約6580万円の損害賠償を求めて鹿児島地裁に提訴した。
訴状によると、教諭は18年9月3日、職員室で夏休みの宿題の一部を提出しなかったとして生徒を大声で 叱責 し、宿題を取りに帰るよう求めた。自宅に戻った生徒は首をつって自殺した。
生徒は日頃から、どなり声を上げて指導する教諭に強いストレスを感じており、この指導で精神的に追い詰められたとして、自殺との因果関係があると主張。学校は自殺に追い込まれる可能性を認識できたとして、市に責任があるとした。
この問題では、市教育委員会の第三者調査委が「指導が引き金になった可能性は高く、自死に与えた影響も最も大きいと考えられる」と結論づけた。鹿児島県教委は22年7月、教諭を戒告の懲戒処分とした。
記者会見した母親は「あの担任でなければ、息子は『ただいま』と家に帰り、今年は二十歳のお祝いをしていた。『指導死』を防ぐためにも、司法の判断で教育行政が変わることを願う」と話した。
市教委は取材に「訴状の内容を確認、精査して対応を検討する」と答えた。