東京都の江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、東京地検特捜部は16日、同法違反の疑いで、元法務副大臣の柿沢未途衆院議員(52)=自民党離党=を任意で事情聴取した。関係者への取材で分かった。関係者によると、柿沢氏は区長選の前後に区議らに現金を配ったことを認めた上で、区議への陣中見舞いであり、区長選の買収ではないとして違法性を否定したとみられる。
4月の区長選では、木村弥生前区長(58)=辞職=と、山崎孝明元区長の長男で元自民党都議の山崎一輝氏(51)が立候補。自民党都連は山崎氏を、柿沢氏は木村氏を支援する保守分裂選挙となった。
関係者によると、柿沢氏は自民会派の区議に現金20万円を配るよう指示し、木村氏が立候補を表明した1月以降、複数の区議が受け取った。
柿沢氏側は木村氏の陣営スタッフに対する報酬リストを作成して計数十万円を支払ったほか、陣営にいた元区議に顧問料を払うなどしており、公選法が禁じる選挙運動員に対する買収にあたる可能性もある。
区長選を巡っては、木村氏が選挙期間中に有料の動画広告を配信した公選法違反の疑いで特捜部が区長室を捜索。11月には選挙買収の疑いで柿沢氏の地元事務所や区議の自宅を捜索し、今月14日には柿沢氏の自宅や衆院議員会館事務所にまで捜索先を広げていた。