京都市東山区の高齢男性刺殺事件で、殺人容疑で逮捕された陸上自衛官水島 千翔 容疑者(21)が事件前、同市中心部を数時間にわたり歩く姿が防犯カメラに映っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。水島容疑者は包丁を持って分屯地を出たと供述しており、京都府警は、襲撃する対象を物色していた可能性があるとみて調べている。
府警などによると、水島容疑者は京都府精華町の陸自 祝園 分屯地に所属し、敷地内に居住。3日朝に外出していた。
捜査関係者によると、府警がその後の足取りを捜査した結果、分屯地から20キロ以上北にある京都市下京区や隣接する東山区内の複数の防犯カメラに同日、水島容疑者が徒歩で移動する姿が記録されていたことが判明した。歩いていたのは数時間に上るという。
府警によると、水島容疑者は同日夜、同区本町のマンション2階と3階の踊り場付近で、3階に住む岡田 好次郎 さん(82)の背中を刃物で刺すなどして殺害したとされる。事件後は逃走し、10日に東京都内で身柄を確保された際、凶器とみられる文化包丁(刃体十数センチ)を所持していた。
水島容疑者は10日の逮捕後、調べに「包丁は分屯地から持ち出した。勤務先近くで襲う相手が見つからず、京都市内に出てきた」「(相手は)誰でもよかった。人を殺したかった」と供述。「反撃される可能性がない、大柄な男性以外を狙った」との趣旨の供述もしている。
陸自や関係者によると、水島容疑者は埼玉県内の中学校を卒業後、神奈川県内の自衛官養成学校に入学。2021年4月に入隊し、研修を経て昨年6月に同分屯地に配属された。分屯地では弾薬の保管などの業務を担当。勤務態度に問題はなく、処分歴もなかったという。