繰り返す「政治とカネ」 パーティー券問題 規正法に「抜け道」

自民党派閥の政治資金問題では、派閥が行うパーティーが裏金作りに悪用されていた可能性が指摘されている。「政治とカネ」を巡る事件のたびに政治資金規正法などの改正が繰り返されてきたが、今回新たな「抜け道」も明らかになり、専門家は「抜本的に制度を見直すべきだ」と指摘する。
政治資金規正法は、収支を公開し政治活動に関する寄付などの対象や量、質を制限することで、政党や政治家の活動が「国民の監視下」で行われるようにすることが制定の目的だ。
当初は企業・団体から政治家個人への献金が認められていたが、昭和60年代以降、リクルート事件や東京佐川急便事件などの問題が相次ぎ、平成6年に企業・団体の個人献金が禁止となり、政治家個人の「資金管理団体」などに限定された。
また、11年には資金管理団体への企業・団体献金も禁止され、政党や、政党のために資金援助をする「政治資金団体」に事実上限られた。
これに伴い導入されたのが、税金による政党助成制度だ。総務省によると、国民1人あたりの負担額は250円とされ、令和5年分は9党に計約315億円を交付。最も多い自民党は約159億円に上る。
ただ、16年には日本歯科医師連盟(日歯連)による闇献金事件が発覚。翌17年に政治団体間の献金を「年間5千万円まで」などと制限した。すると今度は、政治資金収支報告書の支出項目のうち、事務所費や光熱水費などを架空計上していた疑惑、いわゆる「事務所費問題」が浮上。小沢一郎衆院議員の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る虚偽記載事件も表面化し、後に関係者の有罪判決が確定した。
これらを受けて、資金管理団体の人件費を除く5万円以上の経費支出には領収書の添付が義務づけられ、資金管理団体による土地や建物の取得・保有も制限された。
政治とカネに厳しい目が向けられる中、新たな「集金手段」として存在感を増したのが政治資金パーティーだ。1回につき20万円を超える場合、支払先の氏名などが公表される規定はあるが、パーティーの売り上げ自体に上限はない。
細川護熙政権時代に首相秘書官として政治資金改革に携わった成田憲彦・駿河台大名誉教授(政治制度論)は「かつての改革で最大のテーマは企業献金だったが、パーティー券については緩い規定のまま放置された」と指摘。「カネの『入り』も『出』も完全に闇の中で、対処できなかった。今後は会計監査までできるようにする独立機関を作ることも必要なのではないか」と提言する。

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