夫を失った妻の思いは、またしても司法に届きませんでした。森友学園をめぐる公文書の改ざんを苦に自殺した職員の妻が、財務省元理財局長を相手取り、損害賠償を求めた裁判で、大阪高裁は妻側の控訴を退けました。判決後に取材に応じた赤木さんの妻・雅子さんは上告の意向を示しました。 (赤木さんの妻・雅子さん) 「また夫と私は国にも財務省にも捨てられたけど、日本にも捨てられた気持ちがしました。それを承知で戦っています。個人責任をとわれなくていい、これを根本的に変えるために、私は戦います。謝るべきだ、だけど法律、裁判所、法律の中では問えないと言われると私はどうしたらいいんでしょうか。これではねのけられてしまうとこれから夫と同じような立場の人が出てきた時にどこに助けを求めればいいんでしょうか」 また雅子さんは佐川氏に対して「夫に謝ってくれたら裁判を今すぐにやめます」などと話しました。 (赤木さんの妻・雅子さん) 「佐川さんに手紙を出しました。もし佐川さんが夫に手を合わせて謝ってくれて、改ざんについて教えてくれるんだったら、裁判を今すぐに辞めますとお伝えしたんですけど、お返事いただけませんでした。(夫が)仕事でうけた辛い思いを思うと、勝てないと思っていても続けるしか道はないと思っています」 雅子さんは最高裁に上告する意向を示しました。 財務省近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54)は、森友学園をめぐる決裁文書の改ざんを命じられたことを苦に、2018年に自ら命を絶ちました。 妻の雅子さんは、佐川宣寿元理財局長に対し1650万円の損害賠償を求めて訴えを起こしましたが、2022年11月、1審の大阪地裁は訴えを退け、雅子さん側が控訴していました。 19日、大阪高裁は佐川氏が改ざんの指示をしたことで俊夫さんが自殺に追い込まれたことについて、「雅子さん側の説明の要求に対し、佐川氏が道義的責任に基づく正義を尽くした謝罪をすべきではあるものの、それは法的義務を課すべきではない」などとして、雅子さん側の控訴を退ける判決を言い渡しました。