「ドアノブが壊されてお巡りさんが修理していた」頭部を保管していた自宅は、若者がワイワイ撮影、肝試しの場になるなど地元の“観光スポット”的扱いとなり警察が今もパトロール〈札幌すすきの首切断事件から半年へ〉

北国の短い夏に発生し、全国を震撼させた札幌・すすきの首なし殺人事件。殺人、死体損壊などで逮捕・送検された田村瑠奈容疑者(29)と、父で精神科医の修容疑者(59)、母の浩子容疑者(60)の3人は、今なお刑事責任を問えるかどうかを判断するための鑑定留置中だ。事件から約半年がたち、一転して凍てつく寒さに覆われた北海道を訪れた。
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「今日もお昼ごろ、家に向かって手を合わせてる方がいました」
12月中旬、田村一家が暮らしていた札幌市厚別区の自宅周辺はすっかり雪景色に変わっていた。事件直後はブルーシートに覆われ隠れていたガレージの様子も、今は見渡すことができる。ガレージの中には母親の浩子容疑者が趣味にしていたガーデニングの木々や草花が枯れた状態で残されていた。
田村家(撮影/集英社オンライン)
近くに住む女性はこうため息をついた。「事件後は田村さんの家に出入りする方は1人も見かけていないので、どなたか親族の方が掃除に来るとか手入れをしてるとか、そういうこともないと思います。規制線はつい最近までピンと張ってあったのですが、この間降った雪の重みで垂れ下がっちゃったんですね。今でも警察の方は定期的に様子を見に来たり、パトカーで見回りされていますよ」家宅捜索も済み、家族全員が勾留されている今、人気のない民家をパトロールするのもおかしい気がするが、相応の理由があるらしい。「田村さんのお宅が肝試しの名所みたいな感じになっているんですよ。最近は減りましたが、夜中に若い子たちが大人数で来てはワイワイ騒いで写真を撮ったりしていたことが続きましたから。お酒を飲んだ帰りとかに来ているみたいで、酔っ払って田村さんのお宅の前でたむろする人たちもいるので、ウチも防犯カメラを設置したぐらいですから。田村さんのご一家は、娘さんは一度も見たことがありませんでしたが、ご夫婦は穏やかそうな方たちでした。私は事件の1週間前にも奥さまとはお会いして挨拶していたので、あの家の中であんな状態というか、遺体(切断された首)がある状態というか……。そういう事件があったのは今でも信じられないです」
田村瑠奈容疑者(知人提供)
別の80代の住民女性も不安そうな表情を見せた。「奥さまがこまめに手入れしていたガーデニングの植物も枯れてしまいましたね。私も旭川にいたことがありまして、奥さまも旭川の美術館で学芸員をされていたこともあって、以前はよく話をしたものです。まぁ、あれだけ特殊な事件だったというのもあるのでしょうが、田村さんのお宅には今でもたびたび人が訪ねにきますよ。ちょうど今日もお昼ごろ、家に向かって手を合わせてる方がいました。被害者の関係の方なのかどうかわかりませんが、お盆のころはそういった人たちも多くいましたね。あとはやっぱり物珍しさなのか、特殊な事件だったからなのか、見にきて写真を撮る方も多かったですね。1、2ヶ月前には田村さんの家の中にまで入ろうとした方がいたみたいで、ドアの取手が壊されたそうです。肝試しか、怖いもの見たさか知りませんが、取手は警察官が数人がかりで修理していましたよ。田村さんたちは今精神鑑定をしているんでしょう? 本当にどうなるのかしらね……」
「加害者と被害者が一緒にイベントに来てるのを見た」と言っている人が…
被害者のAさんが事件直前に訪れていたイベント会場のディスコ関係者は、こう語った。「いや、もうあれからは警察もこないし、店で話題にする人もほとんどいなくなりましたね。被害者がうちのイベントに立ち寄った後に殺されたということもあって、当初はいろいろな方が話題にしてましたけどね。私も事件直後は警察が家にまで来て、それで事件を知って最初は何がなんやらわからなかったって記憶があります。もうすぐまた大きなイベントをやるんですが、何か起きなければいいのですが……。一回あんなことがあると不安は不安ですよね」 Aさんは事件直前のイベントの模様を記録した映像にも、その姿が映り込んでいた。そのモニター画面を見ながら、関係者が続けた。「これは被害者が亡くなる前に来ていたイベントの映像です。被害者が亡くなったあと、精神的にまいってしばらくイベントに来れなかった人もいたんですが、その方もようやくこの間顔を出してくれました」
クラブで有名人だったAさん(関係者提供)
事件現場のホテルに近い、すすきのの飲食店経営者もこう振り返った。「当時はいろいろとすごかったですね。俺の知り合いのDJもいつもちょっと奇抜な黒い服を着ていて、防犯カメラの容疑者っぽいからと容疑者扱いで取り調べを受けたことがあったりして、みんなであの事件を話題にしてましたもんね。今は誰も話をしなくなりましたが。被害者の話は事件後も本当によく聞きましたが、田村瑠奈容疑者については事件後も目撃話はほとんど聞きませんでした。ただ、DJやってる連中の中には『加害者と被害者が一緒にイベントに来てるのを見た』と言っている人はいました。『K』というクラブの閉店イベントのことだと思います」
田村家(撮影/集英社オンライン)
鑑定留置が解けるのは来年2月末。凍れた北の大地に再び春が訪れるころには、初公判が開かれるのだろうか。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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