自民党派閥の政治資金パーティー券疑惑で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑いで安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の事務所を家宅捜索した。「裏金」問題の全容解明とともに焦点となるのが政治資金規正法の改正だ。岸田文雄首相は「選択肢として否定しない」と言及、規制強化や厳罰化などが検討対象となるが、そこで見逃してはならないのが「外国人によるパーティー券の購入問題」だ。外国人献金を禁じた規正法の「抜け穴」となっている疑いがある。自民党で無派閥の青山繁晴参院議員(71)は「裏金作りと並ぶ非常に深刻な問題で、必ず法改正されなければならない」と訴える。
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茂木敏充幹事長は18日、法改正について「透明性が確保できるような素地を早急に検討しなければいけない」と言及した。パーティー券購入の政治資金収支報告書への記載が必要となる「20万円超」の引き下げや厳罰化、パーティー券購入代金を全て銀行振り込みにする案などが挙がるが、党内には賛否両論あり、道筋は定まっていない。
青山氏は2016年の参院選で初当選して現在2期目で、後援会などを持たず、政治献金を受け取らず、政治資金パーティーも一切開かないという完全無派閥だ。その大きな理由の一つが、外国人による政治献金やパーティー券購入を警戒するためだと明かす。
「パーティー券を買った相手が後になって外国人や外国に関連が深い団体だったことが判明して、そのことを盾に政治家が水面下で脅されるなどの事例を知っている」
規正法では、政治や選挙への海外勢力からの関与を防ぐために、外国人や外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの政治献金を禁じており、違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金、罪が確定すれば公民権停止の対象となる。だが、パーティー券購入には国籍の制限などはない。
青山氏は「私は国会議員になってからそうしたパーティーに一度も出席したことがないが、政治記者時代に取材で実態は知っている。外国人がパーティー券を大量購入しているという話は年々増えている。国籍はさまざまだが、中国が関与する例が多い。中国は経済面では日本頼みで、資本投入を求めるためにパーティー券購入額も増えていた。今回の騒ぎで外国人によるパーティー券購入にも疑惑の目が向けられることは痛手のはずだ」と指摘する。
【海外の政治献金規制】米国、英国などでは外国からの政治献金を禁じている。米国には外国政府や外国勢力と関係を持つ代理人(ロビイスト)に身分登録をさせる「外国代理人登録法」がある。また、上下院議員や政府高官は各種利益団体のロビイストから贈答品を受け取ることができず、在任期間と退官後の一定期間は自らもロビイストへの登録を禁じられている。福井県立大学の島田洋一名誉教授は「これらの規制により、米連邦議会の議員は事実上、外国人や外資系企業からの献金を受け取ることができない仕組みだ。議員や政党の資金集めパーティーにも外国人は参加できない」と話す。