「受け皿がない」醜聞連発でも自民党・岸田首相が“余裕”の背景に「悪夢の3年間」

自民党に逆風が吹き荒れている。
「岸田さんが首相に就任してからというもの、スキャンダルが相次いでいます。さらに今度は派閥の政治資金パーティーをめぐる問題が浮上して、安倍派の4閣僚と副大臣5人の交代など事態が深刻化。
正直、安倍元首相の退陣以来、自民党に追い風が吹いていたことはないのですが、菅前首相がなんとか死守した支持率も岸田さんがぶち壊しています」(全国紙政治部記者、以下同)
裏金疑惑の安倍派を排除したところで事態は解決するのだろうか。来年9月に自民党総裁としての任期を終える岸田首相はその座をなんとしても死守したいようで……。
「岸田さんは立憲民主党から内閣不信任案をたたきつけられても“信じるところに従い、粛々と対応する”と述べています。何を信じているのか謎ですが、岸田さんが余裕を見せていられるのはそれでも自民党が勝つからです」
「悪夢の民主党政権」のイメージ
そう、自民党に変わる受け皿がないのだ。NHKが先月行った世論調査によると、各党の支持率は「自民党」37・7%、「立憲民主党」4・7%、「日本維新の会」4・0%、「公明党」3・4%、「共産党」2・6%、「国民民主党」0・9%、「れいわ新選組」1・4%、「社民党」0・2%、「政治家女子48党」0・1%、「参政党」0・9%、「特に支持している政党はない」が38・5%を占めていて、2桁の支持率を集めているのは自民党だけという、惨憺たる結果に。前出の政治部記者は、
「“悪夢の民主党政権”の3年間がどれだけ国民に政治不信を与えたかということがわかります。’09年8月、民主党が総選挙で大勝し、鳩山由紀夫氏が首相に就任しました。今と同じように世間は政権与党である自民党に辟易していました。
そんな中、マニフェスト(公約)という耳慣れない言葉とともに民主党が躍進したのです。耳触りのいい公約を掲げた彼らに国民が期待した結果、何も変わらないどころか前より事態はひどくなる一方でした。日米関係は悪化し、沖縄・普天間海兵隊基地を“最低でも県外”に移すと安易に約束してから、同基地の辺野古移設は見通しが立たなくなってしまった。
何よりも国民がもう野党に期待できないのは、東日本大震災時に民主党政権だった印象が強いのでしょう。民主党は他国とのパイプが薄いために支援が思うように受けられなかったり、当時の菅直人首相の行動が現場に混乱を招きました」
と当時を振り返る。しかし、これは自民党による“イメージ操作”でもあるという。
「“悪夢の民主党政権”をことさら印象づけたのは安倍さんです。当時、民主党は政治主導には失敗しましたが、言うほど悪くなかった、と検証する識者もいます。
それから鳩山氏が打ち出した“友愛外交”に基づく、東アジア共同体構想は日中韓で集団安全保障体制や通貨統合まですることで、東アジアにアメリカ・欧州に匹敵する第三極をつくり、対等な日米関係を築こうというもの。これが実現していれば今の中国の台頭に対抗できたのではないでしょうか。しかし具体的な動きを示す前に鳩山氏が辞任し、フェードアウトしてしまった。実現力のある新たなリーダーを持つ政党が必要です」
今の野党の党首の顔すら知らない、という人は多そう。

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