【解説】安倍派幹部4人任意聴取 今後の“裏金捜査”…政権への影響は? 追い込まれる岸田首相

自民党の派閥の政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部が安倍派の松野博一前官房長官や、高木毅前国対委員長ら派閥幹部4人に対し、(24日までに)任意で事情聴取をしたことがわかりました。去年、キックバックをやめる決定をした後、方針を撤回した経緯などを確認したものとみられます。

幹部4人への事情聴取という事態に発展した、自民党・安倍派の裏金問題。今後の展開などについて、日本テレビ・田中秀雄政治部長が解説します。
藤井貴彦キャスター
「今回の自民党・安倍派幹部4人への事情聴取という事態ですが、岸田政権にどのように影響を与えているのでしょうか」
日本テレビ・田中秀雄政治部長
「今回、聴取を受けた松野前官房長官は、岸田内閣が発足して以来『政権の骨格』として岸田首相を支え続けてきた人です。その松野氏らの聴取が明らかになったということは、政権にとって大きなダメージといえます」
「一方で、ほかの派閥も捜査を受けているのに、安倍派の(4人の)閣僚だけが辞任させられたことについて、安倍派の関係者からは『岸田首相は、最大派閥の安倍派を本気で敵に回す気か。来年の総裁選での再選はない』と、恨み節とも取れるような声が出ています」
藤井キャスター
「岸田首相はいわば、最大派閥を切り捨てた状況で、総理大臣を今後も続けることはできるのでしょうか」
田中政治部長
「はい、今後考えられるケースというのは、次の3つがあります」
ケース① 自民党総裁選で「再選」
ケース② 岸田内閣が「総辞職」
ケース③ 衆議院の「解散・総選挙」
「1つめは、来年に予定されている自民党の総裁選で勝利をして再選をするというパターンです。岸田首相としては、来年9月の自民党総裁選に向けて、経済や外交などで実績をあげ、再選を果たすというのが基本戦略、というふうにみられています。しかし、ある総理大臣経験者が、『岸田首相が再選されるかなんて、ありえない』と指摘するなど、岸田首相を取り巻く状況は大変厳しくなっています」
「そして2つめが、政権運営にいきづまり、岸田首相が辞任し、内閣が総辞職するケースです。ポスト岸田の1人、石破元幹事長は『来年の春に、来年度予算が成立したら、岸田首相が辞めますというのはアリだ』と話しています。岸田首相が任期途中で政権を投げ出し、総辞職する可能性がある、とみているのです」
「そして3つめですけれども、岸田首相が衆議院の解散に打って出るケースです。ただ、公明党の山口代表が、『解散なんて、今はとてもとてもできない』と話すなど、当面、解散に踏み切る可能性は限りなく低いというふうにいえます」
藤井キャスター
「こうみてみますと、岸田首相は八方塞がりのようにもみえますが、今後を占うポイントはどのあたりでしょうか」
田中政治部長
「ポイントは、捜査がどこまで進展するのか、ということになります」
「まず、来月からは通常国会がスタートし、4月には補欠選挙、そして9月には岸田首相が自民党総裁の任期を迎えます」
「こういったスケジュールのなか、ある政権幹部は、『来年1月の26日か29日に、国会が召集されるだろう。国会が始まるまでに、時間の猶予がある。それまでに、捜査に一定の区切りをつけてほしい』と語っています」
「今後、議員が辞職すれば、補欠選挙となりますが、補欠選挙は4月に実施されます。ある自民党幹部は、『事件は、これからもっと大変なことになる。補欠選挙が10以上、行われるかもしれない』と強い危機感を示しています」
「また、国会が始まると、『政治と金』の問題、一色となることが予想されます。岸田内閣の支持率は、発足以来の最低水準に低迷していますが、このまま低迷が続けば、自民党内から『岸田おろし』の動きが出てくるかもしれません」
藤井キャスター
「ただ、何よりいま、喫緊の状況であるのは、『政治とカネ』の問題ですが、今後どう解決していくのでしょうか」
田中政治部長
「岸田首相は『国民の信頼回復に向け、火の玉となって取り組む』としていますが、“いつまでに、どう対策をまとめるのか”いまだに、明らかにしていません。今後、岸田首相がどこまで“指導力”を発揮できるかに、政権の行方もかかっているといえます」

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