忘年会などで飲酒の機会が増える年末。気をつけたいのが、酒を飲んだ翌朝、アルコール分が体内に残った状態での車の運転だ。鳥取県内で飲酒運転による免許取り消し処分者数は昨年より増加しており、県警は注意を呼びかけている。(林美佑)
県警によると、今年(10月末まで)免許取り消し処分を受けた119人のうち、約8割(93人)が飲酒運転によるものだった。すでに昨年の飲酒運転による免許取り消し処分者数(67人)を上回った。
飲酒後に休憩後、早朝に運転したと供述するケースが多いという。秋には県西部消防局が50歳代の消防司令を、このようなケースによる酒気帯び運転で懲戒処分にした。午後5時半頃から11時頃まで飲酒し、翌日午前9時40分頃、自家用車を運転したところ、警察官による飲酒検知でアルコール分が検出されたという。
アルコールの影響で正常な運転ができないおそれのある状態だった場合は「酒酔い運転」(5年以下の懲役または100万円以下の罰金)になり、違反点数は35点で直ちに免許取り消しになる。呼気1リットル中のアルコール分が0・15ミリ・グラム以上の場合は「酒気帯び運転」(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)となり、アルコール濃度や違反歴によっては免許取り消しになる。
飲酒後、アルコールが体内で分解されるには一定の時間がかかる。アルコール健康医学協会(東京)によると、体重約60キロの成人男性がビール中瓶(500ミリ・リットル)1本または日本酒1合(180ミリ・リットル)または焼酎0・6合(110ミリ・リットル)を飲んだ時、アルコールが体内から消えるのに約3~4時間かかる。
体格や体質、性別など個人差はあるが、たとえば中瓶のビール1本と日本酒1合、焼酎1・2合を飲んだ場合、12時間以上かかる計算だ。午後9時まで飲んだ場合、翌朝は運転できないことになる。
県警によると、県内で飲酒運転による人身事故は昨年までの10年間で125件発生し、15人が死亡した。飲酒運転による死亡事故率は11・2%で、飲酒なし(2・2%)の5倍に跳ね上がる。
県警交通企画課の辻誠次席は「飲酒量が普段より多い時や、深酒した時、家族に『酒くさい』と言われた時などは、酒が残っている可能性がある」と注意を呼びかける。
飲酒開始から12時間後に「0」…記者が呼気チェック
飲酒後はどれぐらい運転できないのだろうか。記者(24)が飲酒しながら、息を吹きかけて測定する市販のアルコール検知器を使って調べた。
記者は女性で体格は平均的。自宅で午後7時から11時までの4時間かけて、缶ビール1本(350ミリ・リットル)とアルコール度数15・5度の日本酒を400ミリ・リットル飲んだ。個人差や体調によって変わるというが、計算上はアルコールの分解に9時間以上必要になる。
飲酒直後は口の中にアルコール分が残っているため正確な数値ではないが、ビールを半分ほど飲んで測定すると、画面に「0・7ミリ・グラム」と表示された。飲酒運転の摘発の基準は0・15ミリ・グラム以上なので、大きく上回っている。
飲酒中は常に高い数値になり、酔いが本格的に回った約3時間後から少しずつ数値が下がり始めた。しかし下げ幅は緩やかで、酔いが覚めたと感じた午前2時でも0・27ミリ・グラムを検知した。
飲酒を終えてから6時間半後の午前5時半にようやく基準を下回る0・1ミリ・グラムに。「0ミリ・グラム」になったのは、飲酒開始から12時間後の午前7時だった。少し眠ると酔いは覚めたような気がしたが、体内にはアルコールが残っていた。翌日運転する時は、節度を守った飲み方をしなければと思った。