自民党派閥の政治資金規正法違反事件で、安倍派の所属議員2人が相次ぎ強制捜査を受ける事態となり、党内は強い危機感に覆われた。さらに、前法務副大臣の柿沢未途衆院議員=自民離党=が公職選挙法違反容疑で逮捕された。野党は柿沢議員の辞職を要求して攻勢を強めた。
東京地検特捜部は27日に池田佳隆衆院議員、28日に大野泰正参院議員の関係先をそれぞれ家宅捜索した。
岸田文雄首相は28日、首相官邸で記者団に「強い危機感を持って政治の信頼回復に努めなければと感じている」と強調。柿沢議員の同日の逮捕については「大変遺憾だ。私自身の任命責任を重く受け止めている」と述べた。
自民党内からは早急な政治改革を求める声が上がった。ある閣僚は「政治の信頼を取り戻すには長い時間がかかる。必要なのは派閥の在り方の検証と政治資金の透明化だ」と指摘。党幹部は「(来月召集の)通常国会では政治資金規正法を改正すべきだ」と訴えた。
一方、立憲民主党の岡田克也幹事長は記者会見で「政治資金パーティーの全面禁止」を改めて主張。柿沢議員については「議員として適切か、身の処し方を考えてもらいたい」と述べた。
共産党の小池晃書記局長は会見で「首相が捜査を受けた議員に説明責任を求め、応じなければ証人喚問を求めるべきだ」と強調。「柿沢議員は辞職を決断すべきだ」と促した。
日本維新の会共同代表を務める吉村洋文大阪府知事は記者団に、政治献金が原則非課税であることを念頭に「政治家の特権的な扱いはゼロベースで見直すべきだ」と語った。
[時事通信社]