自治体が住宅各戸に設置している水道メーターを盗まれる被害が埼玉県内で相次いでいる。さいたま、朝霞、和光、新座の各市で11月上旬以降、少なくとも54個が盗まれた。メーターに使われている銅を狙った犯行とみられ、県警や自治体が注意を呼びかけている。
各市によると、引き渡し前の新築住宅や、建設予定地となっている更地での被害が多い。27日も新座市が、同市東の住宅建築現場から水道メーター2個が盗まれたと発表した。メーターを外されると水道が使えなくなるため、担当者は再設置の対応に追われている。
県警生活安全総務課によると、今年1~11月に確認された金属類の盗難は664件で、このうち水道メーターとバルブ、蛇口などが盗まれた被害が84件。11月以降にメーターの被害が急増しており、背景には銅価格の高騰があるとみられている。
非鉄金属大手のJX金属が公表している銅の指標価格(銅建値)によると、2020年1月に1トンあたり70万6300円だった価格は、23年1月に122万8900円と1・7倍に上昇。同年11月には前月比3・4%増の128万3100円にまで値上がりしている。
多くの水道メーターには、銅と亜鉛を混ぜ合わせた真ちゅうなどが使われている。日本水道協会(東京)によると、検針しやすいように玄関先や駐車場など道路から一番近い場所に設置することが多く、施錠もされていないため、「窃盗犯に狙われやすくなっている可能性がある」という。
朝霞市や和光市では、市のホームページで被害を伝え、住宅販売会社や水道工事事業者に注意を呼びかけている。さいたま市は、水道局職員の巡回を強化するなどの対策を行っている。