文部科学省は、特定分野の研究に強みをもつ地方大などを支援する新事業の対象に、12の国公私立大を採択した。研究環境の改善に必要な資金として、2024年から、各校に5年間で最大55億円を補助する。
新事業は「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」。地方大などに補助金を支給し、専門人材の人件費や研究機器の購入費などに充ててもらう。申請のあった69校から、北海道大、千葉大、東京農工大、東京芸術大、金沢大、信州大、神戸大、岡山大、広島大、大阪公立大、慶応大、沖縄科学技術大学院大の12校を選んだ。
文科省によると、研究内容や10年後の将来展望などが審査の対象となり、「アートと科学技術による『心の豊かさ』を根幹としたイノベーション創出」を掲げた東京芸術大など、特色を生かした目標が評価された。
日本の研究力の低下が指摘される中、政府は10兆円規模の「大学ファンド」を創設。世界トップレベルの研究力を目指す「国際卓越研究大学」に1校あたり年数百億円を助成する方針だ。ただ、対象は数校に絞られるため、今回の新事業で支援の裾野を広げ、国内大学の研究力の底上げを図る。