4月の東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、前法務副大臣の柿沢未途衆院議員(52)の秘書が、現金提供を持ちかけた区議らの受領の有無を一覧表にまとめ、柿沢容疑者に報告していたことがわかった。東京地検特捜部は提供された現金について選挙情勢や時期などから買収資金と判断。一覧表は柿沢容疑者が買収を主導したことを裏付ける証拠とみている。
柿沢容疑者は28日、木村弥生・前区長(58)を当選させる目的で選挙運動の報酬として区議ら5人に計100万円を提供するなどしたとして、秘書4人とともに同法違反容疑で特捜部に逮捕された。
関係者によると、柿沢容疑者は木村氏が立候補を表明し、現職(当時)との選挙戦となる情勢が固まった後の2月下旬、区議ら10人以上に各20万円を提供するよう秘書らに指示。現金は区議ら5人が受け取り、残りは面会や提供を断った。政策秘書・伊藤正樹容疑者(51)は、区議らが現金を受け取ったかどうかを他の秘書から確認して一覧表にまとめ、柿沢容疑者に報告していたという。
柿沢容疑者の逮捕容疑には、木村陣営幹部の元区議に対する約80万円の提供も含まれているが、柿沢容疑者が逮捕前、特捜部に「元区議と顧問契約を結び、顧問料として毎月約20万円を支払っていた」と買収の趣旨を否定していたことも判明。だが契約書は作成されておらず、特捜部は対価に見合う業務実態はなかったとみている。
特捜部は一連の現金提供について、厳しい選挙戦情勢や告示まで2か月を切った時期だったことなどから買収資金と判断。柿沢容疑者と秘書4人は容疑を否認しているという。