逮捕の衆院議員池田佳隆容疑者 パー券に注力、集金力あだ 秘書に「しっかり売れ」

自民党の派閥のパーティー収入不記載事件で東京地検特捜部は7日、政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で元文部科学副大臣の衆院議員、池田佳隆容疑者(57)らを逮捕した。日本青年会議所(JC)会頭出身で抜群の集金力を誇った池田容疑者。集金力があだとなり、安倍派(清和政策研究会)がパーティー収入からキックバック(還流)する額や政治資金収支報告書の不記載額が膨れ上がったとみられる。
「パー券(パーティー券)はしっかり売るように」
池田容疑者の事務所を知る関係者によると、池田容疑者は秘書志望者との面接の際、そう話し、採用後もパーティー券販売に精を出すよう声をかけていた。
大口の支援者へ秘書がパーティー券を売る際は「誠意が伝わるように直接手で持っていくように」と指示。パーティーの時期が近づくと、秘書がパーティー券販売に追われ、他の業務が滞ることもあった。
池田容疑者は関連団体の会計責任者である柿沼和宏容疑者(45)=政治資金規正法違反容疑で逮捕=に対してはパーティー券に限らず、細かく命令を下し、池田容疑者に報告せずに業務を進めた際には叱責する姿が目撃されていたという。
安倍氏に感銘
父親を早くに亡くし、愛知県北名古屋市の化学メーカーを継いだ池田容疑者。平成18年に全国の若手経営者の集まりであるJCの会頭も務めると、政治家の道をたたいた。
きっかけは会頭だった同年、当時官房長官だった安倍晋三元首相との面会だ。感銘を受け、24年に愛知3区で自民党から出馬、初当選した。
入会した派閥が安倍氏の出身である清和政策研究会(現安倍派)だ。
最大派閥である安倍派。当時から所属議員に課したパーティー券の販売ノルマを超えた分を収支報告書に記載せず還流していたとみられ、逮捕される遠因になった。
入会後は教育政策を中心に活動し、文部科学副大臣も経験。安倍派幹部で文部科学相を務めた萩生田光一前政調会長を慕い、周囲には萩生田氏の弟分を自称していた。
JC人脈駆使
池田容疑者の集金力の源泉は、JC会頭経験者としての幅広い人脈だったとみられる。
選挙区は名古屋市が地盤だが、関連団体の政治資金収支報告書には、寄付者やパーティー券の大口販売先として愛知県外の企業や個人も目立つ。複数がJC出身者だ。
その人脈は、安倍派のパーティーでも遺憾なく発揮されていた。
安倍派の平成30年~令和4年分の収支報告書によると、20万円を超える金額のパーティー券を購入したと記載されているのは延べ数で約230の企業・団体。そのうち、延べ数で2割超が池田容疑者個人の政治資金パーティーで20万円を超えるパーティー券を購入した企業・団体やその関係先だった。
安倍派のパーティーはノルマを超えた販売分は還流される。個人のパーティーと違い、会場代などは派閥が持つため、販売額が増えるほど還流額も積み上がっていった。
池田容疑者の事務所では「安倍派のパーティーは売るほど自分の懐に入る」とされ、個人のパーティー券以上に販売に力を入れていたという。(久原昂也、星直人、川島優治)

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