安倍派の複数幹部、キックバックは「派閥会長が決定する案件」…会計責任者との共謀も否定

自民党派閥「清和政策研究会」(安倍派)を巡る政治資金規正法違反事件で、複数の同派幹部が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、政治資金パーティー収入の所属議員側へのキックバック(還流)は「派閥会長が決定する案件だった」と供述していることがわかった。同派の政治資金収支報告書を作成・提出した会計責任者は還流分の不記載を認めているが、幹部らは「収支報告書には関わっていない」とし、会計責任者との共謀を否定したという。
同派では2018~22年、パーティー収入のノルマ超過分を議員側に還流するなどして総額5億7000万円超を裏金化した疑いがある。この間、会長を務めたのは細田博之・前衆院議長(23年11月に死去)、安倍晋三・元首相の2人で、派閥実務を取り仕切る事務総長経験者は下村博文・元文部科学相(69)、松野博一・前官房長官(61)、西村康稔・前経済産業相(61)、高木毅・前党国会対策委員長(67)の4人。
関係者によると、事務総長経験者を含めた複数の幹部は特捜部の聴取に対し、還流について「会長と会計責任者がやりとりする案件だった」などと説明し、不記載に関する会計責任者との共謀を否定したという。
22年分については、還流を廃止する方針を示していた安倍氏が同年7月の銃撃事件で死去した後、事務総長の西村氏や会長代理の下村氏、塩谷立・元文部科学相(73)らによる協議の結果、還流が継続されたことが判明している。3氏らは同年分についても不記載への関与を否定したとみられる。
特捜部は週内にも幹部への聴取を終え、上級庁と協議して刑事処分を決める見通し。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする