能登半島地震の発生から2週間となった15日、福岡市から第1次隊として派遣された市水道局の職員が高島宗一郎市長に現地での活動を報告した。想像を絶する状況の中で「『遠くからありがとう』という被災者の言葉に、逆に励まされた」と振り返る一方、情報伝達などの面での課題も実感したという。【竹林静】
派遣されたのは熊本地震への出動経験もある岡部哲明隊長(50)ら8人。4日に出発し、富山県を経由して6日に能登半島北部の石川県能登町に入り、11日まで活動した。岡部隊長は「道路に大きなひび割れや陥没があり、身の危険を感じる場面もあった」と話した。
通行可能な道路は現地を支援する人らの車で渋滞した。宿泊は金沢市内を予定していたが、想像以上に道路状況が悪く、断水した同町の福祉施設に泊まり込み、寝袋で寒さをしのいだ。
給水活動は同町役場小木支所で実施し、約6キロ離れた浄水場から水をピストン輸送。約1130人に給水できたが、課題も感じた。
伊藤淳一さん(50)は「給水があることを知らない人に『水がもらえるの?』と聞かれることが多かった。避難所では給水時間のアナウンスが流れるが、自宅や車中で避難している人には情報が届いていないと実感した」と話した。
そんな中、支えられたのは地元の人の「差し入れ」だった。隊員のためにコーヒーをいれてくれ、「福岡で何かあったら真っ先に支援する」との言葉に心も温かくなったという。
現地への支援について、岡部隊長は道路状況から「今はまだ円滑な移動が難しく、個人の支援物資を送るのは我慢してほしい。現地のボランティアセンターが開設され、道路状況も良くなれば必ず皆さんの力が必要な時が来る。それまでは義援金などで支援いただけたら」と呼びかけた。