「医療と心のケア重要」 能登半島地震、日赤職員が状況報告

能登半島地震の被災地に入り、インフラや避難所の状況を調査した日本赤十字社北海道支部の職員が15日、札幌市に戻り同支部で現状を報告した。「寝る人の頭と靴の距離が近い」など感染症の流行が危惧される避難所の様子を伝え、被災者の精神的ケアの重要性を訴えた。
同支部組織振興課の松井宏明さん(44)は10日に派遣された旭川赤十字病院(旭川市)の医師ら7人による救護班に帯同。12日、金沢市から車で石川県能登町に入った。通常なら金沢市から2時間台で到着するが、道路の陥没や亀裂、土砂崩れの影響で約5時間かかったという。
救護班は2組に分かれ、能登町中心部などの避難所で巡回診療と状況調査を行った。松井さんによると、避難所によっては、土足で入るスペースの床に直接毛布を敷いて寝たり、間仕切りがなかったりするケースがあった。
現地は断水し、「避難者は水で苦労されていたのでは。水が出ていれば自宅に住める人もいるだろう」と指摘。また、冬季の避難生活を巡っては、停電時の石油ストーブの重要性を挙げて「日ごろからの準備が大切」と道民に呼び掛けた。
救護班は3日間で計27人を診察。10人ほどが感染症にかかり、便通障害やストレス障害もみられた。涙を流す受診者もいたと明かし、「2週間たって精神的にたまったものが出る時期だろう。医療と並行して心のケアも重要になる」と訴えた。
日赤北海道支部は1月末までに計80人程度を被災地に派遣する予定。道民に義援金での活動支援を求めている。【片野裕之】

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