悪質リフォーム業者”のれん分け”で増殖か 被害を防ぐポイントは

訪問先の住宅で「屋根が壊れている」などと虚偽の説明をして修繕費用をだまし取ろうとしたなどとして、警視庁暴力団対策課は17日、横浜市港北区のリフォーム会社「大和住建」社長、高橋大地容疑者(27)や同社の従業員ら男性数人を詐欺未遂容疑などで逮捕した。捜査関係者への取材で判明した。
暴力団対策課は悪質なリフォーム業者の一部に、特殊詐欺などに関わったグループが入り込んでいるとみており、実行役らが緩やかに結びつき離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ」の一種とみている。同社についても、反社会的勢力に収益が流れていないかなど実態解明を進める。

住人の不安をあおり、必要のない工事の契約を結ぶ悪質なリフォーム業者を巡る相談は、国民生活センターにも多く寄せられている。センターによると、訪問勧誘のリフォーム工事に関する相談件数は2020年度8786件▽21年度9753件▽22年度1万76件と、1万件前後で推移している。「屋根工事などの契約をしたが、請求額が見積もりと違って高額だった」などの相談が多いという。
警察幹部は「まず従業員として働き、勧誘方法などノウハウを学んだ後に『のれん分け』する。そうして独立した業者が組織ぐるみで悪質リフォームに手を染めるケースが少なくないのでは」とみる。
捜査関係者によると、高橋容疑者も、同業者で働いた後に独立したという。22年に大和住建を設立し、従業員に住宅への訪問や勧誘を繰り返させていたとみられる。
建設業法では、代金が500万円未満の屋根の修繕などに限れば、施工業者に国や都道府県の建設業の許可取得は義務づけられていない。このため、小規模なリフォーム工事が「犯罪グループにとって、特殊詐欺などに比べて摘発のリスクの低い資金源になっているのではないか」(捜査関係者)との見方もある。
明海大不動産学部の中村喜久夫教授は「『一人親方』のような業者にも一律で建設業の許可取得を義務づけるのは難しく、小規模な業者が責任者や住所を行政に登録する制度を検討すべきだ。消費者の側も、日ごろから相談できる業者を決めておくことが被害防止につながる」と提言する。【林田奈々】

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