海底隆起で「終わりだと思った」 津波で少なくとも172の漁船が被害に 畜産業も打撃 能登半島地震

漁業や畜産業が盛んな能登地方。今回の地震で大きな被害を受けました。海底の隆起で変貌した港を見た漁師の一人は「終わりだと思った」と話しました。
被災地に晴れ間がのぞいたきのう、上空からの映像に映っていたのは…。
記者「かなり隆起してしまったのでしょうか、港の中に水がまったくありません」
海底が隆起したことにより、様々な場所で海岸線が沖に移動していました。
輪島市門前町の鹿磯漁港に行ってみると…。
記者「隆起したことで、港に係留されていた船が横倒しになってしまいました。岸壁の部分、白い部分に貝や海藻がついていますが、あの高さまで海面があったことが分かります」
海底は最大でおよそ4メートル隆起し、一面が干上がったような状態になっています。
イカ釣り船も多く集まった鹿磯漁港の漁獲高は、年間およそ5億円でした。
漁師 高島長憲さん「最初の地震で海岸線を見たときあぜんとした。それで終わりだと思った」
地元の漁師は一変した港の光景に肩を落とします。
漁師 高島長憲さん「海水がないんだから、再建するのはとてもじゃない。ないなと思った」
県内の漁港には津波の被害も…。
記者「こちらの海岸では、船が1艘、2艘、3艘と転覆してしまっています」
地震の被害は県内の69ある漁港の8割以上にあたる58か所で確認され、少なくとも172の漁船が沈没や転覆などをしているということです。
そして、地震の影響は畜産業にも。能登町で和牛ブランド「能登牛」を1000頭育てる平林将さん。
能登牧場 平林将さん「鳴き声、鳴き方が違う。怖がっているような悲鳴ですかね」
悲鳴にも似た、牛たちの鳴き声。1日に30リットル以上の水を飲む牛たちですが、断水と停電で十分に水を与えることが出来ず、1頭が死にました。
さらに、道路が崩落してエサを運び込むことができず、備蓄はあと3日で底をつくといいます。
能登牧場 平林将さん「人命優先はそのとおり。でも牛だったり豚だったり鶏だったりが奥能登地域にはたくさんいる。そういったところにも少しでいいから目を向けてもらえたら」
農林水産業が盛んな能登半島。地震は生活の糧に深刻な影響を及ぼしています。

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