群馬・高崎の朝鮮人追悼碑、県が行政代執行で撤去の方針 市民団体との協議平行線で

群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にある戦時中の朝鮮人労働者追悼碑について、群馬県は行政代執行により撤去する方針を固めた。最高裁決定を受けた県の撤去要請に対し、碑を管理する市民団体側が逆に撤去命令の取り消しを求めて訴訟を起こすなど事態が膠着(こうちゃく)したことから判断した。具体的な時期は明らかにしていない。
10年間の設置許可、更新認めず
追悼碑をめぐっては平成16年、革新系の市民団体が県による10年間の設置許可を受け設置。「政治的行事を行わない」との条件付きだったが、追悼式で出席者が「強制連行の事実を訴えたい」などと発言したため県は26年、条件に反したとして更新を認めず、市民団体が不許可処分の取り消しなどを求め訴訟となった。
1審前橋地裁判決は県の更新不許可処分は裁量権を逸脱し違法と判断したが、2審東京高裁は「追悼式で『強制連行』という文言を含む政治的発言があり碑は中立的な性格を失った」とし、市民団体側の請求を棄却した。令和4年6月、最高裁は市民団体の上告を棄却、高裁判決が確定した。
市民団体「徹底的に闘う」
これを受け県は昨年春、市民団体に追悼碑の撤去と原状回復を命じ、その後も協議を持ったものの平行線をたどり、県は7月、直ちに撤去するよう求め、着手しない場合、法定手続きに沿って行政代執行を行うことも通知していた。
これに対し市民団体は10月、撤去命令の取り消しなどを求める訴訟を前橋地裁に申し立て、「追悼碑は公園内で10年にわたって静かに鎮座しており公益を害するようなことはない。徹底的に戦う」(弁護団長の角田義一氏)と現状維持を強く訴え、折り合う姿勢は見せなかった。山本一太知事は「司法の場で議論し、最高裁で結論が出た以上、その判断に従って必要な手続きを粛々と進めていくだけだ」と語っていた。

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