「苦しさからの解放願うなら」 医師の大久保愉一被告が安楽死で持論 ALS事件公判

難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者への嘱託殺人罪などに問われた医師の大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判第5回公判が22日、京都地裁(川上宏裁判長)で開かれた。被告は、自らが過去に交流サイト(SNS)に投稿した安楽死についての書き込みに関し「苦しさからの解放を願うなら、かなえてあげるのが本人のためだ」などと語った。
弁護側の被告人質問に答えた。被告はX(旧ツイッター)上に安楽死を肯定する趣旨の投稿を繰り返し、手塚治虫の漫画「ブラック・ジャック」に登場する医師で安楽死を請け負う「ドクター・キリコになりたい」ともしていた。投稿の理由を問われた被告は「そういう人になりたいけど、自分はなれないという率直な思いからだった」などと説明した。
一方で、死にたい人が誰でも死ねる社会は望んでいなかったとも強調。寿命が短くなり、苦しみから解放されたいと願う患者については「意思をかなえてあげるべきだ」と持論を述べた。
被告はこの日、医師を志した経緯についても語った。小学5年の頃、死産した親族が医師から冷淡な対応を取られたといい、「ワンストップでいろいろ診られる万能な医者」を目指したと説明。地域医療に関心を抱き、医学部へ進学したとした。

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