麻生氏が派閥存続を明言、「政策集団として頑張る」…岸田派議員は講演の聴衆から両手でバツ印

自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、自民のベテランや若手の議員が地元活動で、派閥の見直しをはじめとする政治改革のアピールに躍起になっている。事件による逆風は強く、失われた信頼の回復につながるかどうかは見通せないのが実情だ。

「古い自民党、票やお金をくれる勢力におもねる政治ではなく、国民政党の原点に戻る」
安倍派の稲田朋美幹事長代理は27日、地元の福井県あわら市内で開いた会合に約20人の支持者らを集め、こう強調した。
同派では、政治資金パーティー収入の還流を通じ、巨額の裏金が作られていたことが発覚した。議員が逮捕されたほか、会計責任者らが立件され、派閥の解散が決まった。
稲田氏は「私を応援していることで、『一体どうなっているんだ』と問い合わせを受けたと思う。調査に時間がかかり、説明がこういう時期になってしまったことはおわびしなければならない」と陳謝した。
出席者からは「二度とこうしたことがないように襟を正してほしい」との声が上がったという。

岸田派の石原正敬衆院議員(当選1回)はこの日、三重県内の3市1町計7か所を街宣車で回り、街頭演説を行った。
岸田首相が岸田派の解散を打ち出したことについて、「よもや決断するとは思っていなかった」と振り返り、「我々若手がスクラムを組み、党改革をしていく」と強調した。この日の演説では、聴衆から両手でバツ印を作り、批判の意思を示されることもあった。自民地方議員は「有権者の反応は厳しい」と漏らした。
無派閥の牧原秀樹衆院議員(当選5回)はさいたま市内でミニ集会を開いた。支持者ら約10人を前に「今までは派閥の親分の前で『あなたも派閥をやめろ』なんて言えなかった。政治が大きく変わるチャンスだ」と指摘した。

一方、麻生派を率いる麻生副総裁は福岡県飯塚市での講演で、「政策集団として、皆さんの期待に一層応えられるように頑張っていかねばならない」と表明し、派閥の存続を明言した。「従来以上に政策を大いに勉強し、研さんし、立案し、国民の負託に応えることが信頼回復に向けた唯一の方策だ」とも語った。
自民内では、麻生派と茂木派が派閥を解散しない意向だ。

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