能登半島地震の犠牲者として石川県が氏名を公表している死者129人のうち、7割を超える94人が65歳以上の高齢者であることが判明した。ほとんどは家屋倒壊で亡くなった。被災地には、高齢化率(65歳以上が人口に占める割合)が5割を超える市町もあり、後継者不足もあいまって住宅の耐震化が全国よりも遅れていることが背景にあるとみられる。
地震発生から2月1日で1カ月となる。死者は石川県のみで確認されており、30日時点で238人(災害関連死15人)。県は、遺族の同意が得られた範囲で氏名や年齢、被災状況などを順次公表している。
これまでに氏名が公表された死者は3~100歳の129人(男性63人、女性66人)。年代別では50代以下が28人と全体の2割程度であるのに対し、60代18人▽70代33人▽80代34人▽90代15人▽100歳1人――と高齢者ほど死者が多い傾向にある。65歳以上は94人で全体の73%を占めた。
際立つ高齢化率 耐震化も進まず
被災状況をみると、全体の86%を占める111人が家屋倒壊で、うち82人が高齢者だった。背景には、被害が集中した能登半島北部・奥能登の高齢化率がある。2020年国勢調査に基づく県の資料によると、いずれも死者101人と市町で最多の珠洲(すず)市が52%、輪島市が46%と高い。死者20人の穴水町と、死者8人の能登町を加えた奥能登4市町は49%で、全国(29%)や県全体(30%)を大幅に上回る。
こうした地域では古い木造住宅が多いが、住宅の耐震化率は輪島市が45%、珠洲市が51%で、全国平均の87%(18年、国推計)の半分程度しかない。馳浩知事は「後継者がおらず、住宅の改築や新築が遅れているのでは」との見方を示す。
地震による家屋倒壊が目立った過去の災害では、熊本地震(16年)は災害関連死を除く「直接死」(50人)で高齢者が68%。都市型災害だった阪神大震災(1995年)では、兵庫県での死者6402人(災害関連死含む)のうち高齢者が50%だった。【露木陽介、郡悠介】