去年8月下旬から9月4日にかけて、覚醒剤を使用した罪だけでなく、新たに薬物の影響下で運転して事故を起こし、同乗の赤ちゃんに重傷を負わせた罪に問われることになった32歳の女の裁判…検察は、女が当時、覚醒剤だけでなく、大量の睡眠薬などを服用していたことなどを指摘しました。
起訴状などによりますと、苫小牧市の無職、大崎紬(つむぎ)被告32歳は、8月下旬から9月4日にかけて覚醒剤を使用した罪、さらに薬物の影響を受ける状態で軽乗用車を運転して電柱に衝突、同乗させていた赤ちゃんに重傷を負わせた危険運転傷害の罪に問われています。
発覚のきっかけは、去年9月4日の午前2時ごろ、後続の乗用車から「フラフラ走ってる車がある。明らかに運転が変」という警察への通報でした。
警察官が行方を追うと、住宅街の片側1車線の道路で、大崎被告が運転の軽乗用車が電柱に衝突、生後まもない女の子の赤ちゃんが車内で大泣きし、頭に大きな“タンコブ”ができていました。
後部座席にチャイルドシートが設置されていたものの、赤ちゃんが発見されたのは、助手席の足元でした。
赤ちゃんは生後2か月の次女でしたが、頭の骨が折れて、両側硬膜下血種、外傷性くも膜下血種で、全治約65日の大けが、退院後、大崎被告の親族が引き取り、育てています。
検察は当初、覚醒剤取締法違反の罪だけ起訴したのに対し、去年11月の初公判で大崎被告は「自分が覚醒剤だと認識して使用した覚えは一切ない…なので、違います」と起訴内容を否認。
<去年11月の検察の冒頭陳述>
・苫小牧市で生まれ育つ ・中学卒業後、飲食店従業員や介護士の職歴 ・離婚歴あり、長女、次女と暮らす ・逮捕時は無職で、生活保護を受給 ・2018年6月30日に一度、覚醒剤取締法違反の罪が確定 ・去年9月4日、交通事故を起こし、尿検査で覚醒剤反応 ・寝室のテーブルで、微量の覚醒剤粉末が付着したビニール袋を発見
その後、検察は処分保留としていた危険運転傷害の罪でも起訴、30日午後の公判で、大崎被告が当時、覚醒剤だけでなく、大量の睡眠薬と抗精神病薬も摂取、正常な運転ができる状態ではなかったと指摘しました。
<30日の検察の冒頭陳述>
・2015、16、18年に大量の睡眠薬を服用し、救急搬送 ・2022年12月ごろから睡眠薬などの入手、使用を頻繁に調べ、知人らにメッセージ ・事故当日、交際相手や知人に下記のメッセージ 「もう、眠ります。お葬式来てね」 「ミンザイ(=睡眠剤?)全てビールで飲んだ」 「海に突っ込む」 「ミンザイ、手に入ったから死んだ。もう、嫌われたから」 ・電柱に衝突前、縁石に接触、低速、信号が青になっても発進しないなどの不審な走行 ・駆け付けた警察官の前で「警察来た。パクられる」の電話 ・足元おぼつかず、うつろ、呂律も回らず ・大泣きの赤ちゃんについて「どこにいるのかわからない、たしか後ろ」 ・「よそ見した」と供述も、任意の尿検査で覚醒剤、睡眠薬、抗精神病薬の反応
こうした検察の指摘、追起訴の内容について、大崎被告と弁護人は「一部を否認します」「運転前に摂取した薬物の影響での部分と(赤ちゃんが)全治約65日という点について一部争います」とだけ主張しました。
大崎被告、弁護側は否認、具体的な説明、証言がなく、まだ、事実関係はわかりませんが、検察の指摘どおりなら、歩いている人なども巻き込む惨事の危険性もあった今回の事件…次回の公判は、未定となっています。