還流不記載議員リストに立民・岡田氏「極めていいかげんなもの」…審議拒否なら厳しい国会日程に

自民党は5日、派閥の政治資金パーティー券収入の還流分などを政治資金収支報告書に記載しなかった議員リストを野党に提示した。野党の要求に応じた形だが、不記載となった経緯や使途は依然不明なままで、野党は反発した。今後の自民の対応次第では、2024年度予算案の審議日程に影響が及ぶ可能性がある。
「『裏金』の発生は中抜きかキックバック(還流)か。なによりも何に使ったのか書かれていない。極めていいかげんなものだ」
5日の衆院予算委員会で質問に立った立憲民主党の岡田幹事長は、リストの不備を強く批判した。自民のリストが20~22年分の不記載だったことについても、岡田氏は「立件範囲は5年だ」として、岸田首相(自民総裁)に対してリストの出し直しを求めた。
首相は「党として実態や経緯、使途についてもできる限り把握したい」と答弁したが、リストの再提出には言及しなかった。
自民のリストは、安倍派と二階派が1月に総務省に届け出た3年間の報告書の訂正に基づき、年ごとに派閥から還流などを受けた政治団体名、金額、代表者の議員名が記されている。政治団体の代表が議員でない場合などは代表者名が伏せられたが、読売新聞が関連の議員を調べたところ、不記載のあった議員らは、安倍派91人、二階派7人に上った。不記載額が最も多かったのは、政治資金規正法違反で東京地裁に起訴された池田佳隆衆院議員(自民を除名)で、3年間で総額3208万円だった。
立民の安住淳国会対策委員長は同日、日本維新の会、共産、国民民主各党の国対委員長と国会内で会談し、自民の対応次第では、日程闘争を含めた厳しい国会対応を取っていく方針を確認した。会談後、安住氏は記者団に対し、「(自民が)この態度でいけば、次の強硬手段に出ざるを得ない」と強調した。
今国会は、1月30日の岸田首相の施政方針演説など政府4演説の前日に「政治とカネ」をテーマとする衆参両院の予算委員会が開催されるなど、野党ペースで進んでいる。予算案は憲法の規定で参院送付から30日で自然成立するため、政府・与党は年度内成立が確実となる3月1日までに衆院を通過させたい考えだ。
日程は窮屈になっており、自民幹部は「野党が1日でも審議拒否をすれば、相当厳しい国会運営になる」と懸念する。

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