8日に警察庁が明らかにした令和5年の特殊詐欺についての総括によると、認知件数は3年連続の増、被害総額は2年連続の増、摘発件数も2年連続で増と、新型コロナウイルス禍が始まった令和2年の減少から転じて増加している。「ルフィ事件」をきっかけに外国機関と連携して海外拠点への捜査が強化されたのが特徴だ。
5年の認知件数は1万9033件と前年比1463件(8・3%)の増加で過去10年では最多となった。被害額は441・2億円と同70・4億円(19%)の増。摘発件数も7219件と同579件(8・7%)増えた。
アルバイト感覚で知人やSNSなどを通じリクルートされた少年・少女の摘発人数は446人と同27人(5・7%)減ったが、摘発された受け子1594人に占める割合は5人に1人で「相変わらず高水準にあり、未成年がトカゲの尻尾にされている」(警察幹部)。
電話をかける特殊詐欺の海外拠点を外国当局が摘発し、日本に身柄を移送して逮捕した人数はルフィ事件を含め69人で過去最多。場所は比、カンボジア、タイ、ベトナムの4カ国8カ所だった。
手口別は、オレオレ詐欺やキャッシュカードを交換するとをつくなどの直接の「対面型」が8・5%減少。全体では電話でだます手法が77・4%と依然、8割近くを占めているが、増加傾向にある架空料金請求詐欺では、電話が30・2%にとどまるのに対してパソコンやスマホなどの画面の「ポップアップ」表示が43・8%と最多だった。