おととし7月、札幌市中央区の交差点で、当時13歳の女子中学生を車ではね、死亡させた罪に問われた72歳の男性の裁判…1審の札幌地裁が「女子中学生が自殺のため、飛び出した可能性を否定できない」などとして無罪を言い渡したのに対し、検察は控訴せず、男性の無罪が確定しました。
起訴状などによりますと、札幌市西区の72歳の男性は、おととし7月、札幌市中央区の交差点で、当時13歳の女子中学生を車ではね、死亡させた過失運転致死の罪に問われていました。 検察は「前方左右を注視せず、時速約84キロから92キロのスピードで交差点に進入した過失が男性あった」と指摘し、罰金50万円を求刑。
これに対し、被告と弁護人は「女子中学生が自殺目的で意図的に車の前に飛び出しており、男性が事故を予見、回避することはできなかった」として、無罪を主張。
これまでの公判で、証拠として提出された現場付近のコンビニエンスストアの防犯カメラには、赤信号なのに女子中学生が反対車線の横断歩道に立った後、男性の車に向かって飛び出す様子が撮影されていました。
1月23日の判決公判で、札幌地裁の井下田英樹裁判長は、女子中学生が通っていた精神科医への聴き取り、証拠として提出された防犯カメラの映像などから「自殺のために飛び出してきた可能性を否定できない」と認定。
その上で「女子中学生の飛び出しを予見、事故を回避できた可能性には合理的な疑いが残り、被告に過失を認めることはできない」などとして、男性に無罪を言い渡しました。
判決後、検察は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントしていましたが、期限の6日まで控訴しなかったため、男性の無罪が確定しました。