中学校の技術・家庭科でプログラミング教育などを担う技術分野の授業を受け持つ教員の2割超が正規の免許を持っていないことが13日、文部科学省の調査で分かった。専門教員の採用が滞っており、現在は臨時免許や別教科の教員が担当している。同省は各地の教育委員会に計画的な採用を要請した。
調査は令和4年5月1日時点で、都道府県と政令市の教育委員会を対象に実施。技術・家庭科(技術分野)の担当教員9719人のうち、23・1%に当たる2245人が正規の免許を持っていなかった。中学校を対象にした調査は初めて。
内訳は、1709人が技術分野の免許を持たない教員が特例で教える「免許外教科担任」。536人が最大6年間の有効期限付きの臨時免許状の保有者だった。
都道府県・政令市別では、免許外教科担任・臨時免許状保有者の配置が最も多かったのは北海道の238人。鹿児島が141人、千葉県が123人と続いた。一方、東京都や大阪市、さいたま市など6自治体は全員が正規免許を持っていた。
文科省によると、背景には授業時間数の削減がある。昭和33年に技術・家庭科の授業時間は3年間で315時間だったが、現在は175時間まで減少。これに伴って各教委が教員の採用を絞ってきたという。山間部の小規模校などが多い教委では、国語や社会といった主要教科の教員の採用を優先せざるを得ない事情もあるとみられる。
新学習指導要領では小学校でプログラミング教育、高校では「情報Ⅰ」が必修化。来年からは大学入学共通テストにも新教科「情報」が加わる。中学校の技術・家庭科は小学校と高校をつなぐ重要な位置付けとなっている。文科省は次期指導要領が始まる令和10年度までに解消を目指す。
文科省は各教委に教員の計画的な採用を求めており、1人の専門教員が複数の学校で教える「複数校指導」やオンライン授業の実施、外部人材の活用などを促す。
文科省の担当者は「専門的な教員による学校での指導は、デジタル化を進める上で最重要課題だ。今後も自治体と協議し、改善策を早期に実施したい」と述べた。