『大吉原展』が開催前に大炎上 「余計に問題視されたのかも…」主催側が釈明を迫られた背景

東京藝術大学大学美術館で3月から開催予定の「大吉原展」がSNSで炎上中だ。8日に主催側が文書を発表して釈明する騒動となっている。
大吉原展の公式サイトはピンクが目立つ派手なもの。「『江戸吉原』の約250年にわたる文化・芸術を美術を通して検証 仕掛けられた虚構の世界を約250件の作品で紹介する」と趣旨を説明している。
また「他の遊郭とは一線を画す、公界としての格式と伝統を備えた場所」「洗練された教養や鍛え抜かれた芸事で客をもてなし」「常に文化発信の中心地」と、さまざまなエンターテインメントが集まった場所と紹介していた。
こうした吉原を肯定的にとらえる内容に、SNSでは反発が広がった。脳科学者の茂木健一郎氏は「国内のアートのトップ大学の美術館で、大吉原展のようなまったく調子外れの企画展が出てきた事実に衝撃を受けました。大幅な企画の変更ないしは中止は不可避だと考えます」と指摘していた。
茂木氏のほかにも「アートの名のもとに、人身売買の歴史がウォッシュされています」「あまりにもポップ…そんな風に扱っていい題材じゃない」と、当時の吉原で働いていた女性たちへの視点が欠けているという声がSNSで寄せられていた。
主催側は批判を受けて、「本展がテーマとする、花魁を中心とした遊郭『吉原』は、前借金の返済にしばられ、自由意志でやめることのできない遊女たちが支えたものであり、これは人権侵害・女性虐待にほかならず、許されない制度です」との見解を発表した。この「負の歴史」を踏まえて展示をするという。
過去にはアニメ「鬼滅の刃」が遊郭編で吉原を舞台にした時も、同じように否定的な意見があった。風俗に詳しいライターは「有名人の性加害疑惑とタイミングが重なったから、余計に問題視されやすかったのかもしれません。当時の吉原は働く女性たちにとって悲惨な面があったのは事実で、いまさら隠しようもないことです。大吉原展がそうしたマイナス部分を扱わないのなら、さらなる炎上となるでしょう。逆にちゃんと扱えば騒動も止まるはずです」と指摘した。

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