福岡県飯塚市で1992年に小学1年の女児2人が誘拐、殺害された「飯塚事件」で死刑が確定し、2008年に執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚(執行時70歳)の第2次再審請求審で、裁判所、検察、弁護団の3者協議が15日、福岡地裁(鈴嶋晋一裁判長)で非公開であり、審理が終結した。地裁は4月以降に、再審を認めるかどうかの決定を出す。
3者協議後の記者会見で、弁護団は、事件があった92年2月20日午前8時半ごろに「被害女児2人を通学路付近で見た」と供述していたとされる当時20代の女性が「2人を見たのは事件当日ではなく、別の日だった。当時も警察にそう説明したが聞き入れてもらえなかった」とする調書を新証拠として提出していたことを明らかにした。
確定判決は、この女性の当時の供述調書などに基づき、女児は92年2月20日午前8時半~同50分ごろに誘拐されたと認定した。弁護団によると、第2次請求審では女性に対する尋問も実施された。検察側は女性の新証言を「信用できない」としており、再審可否の争点となる。
久間元死刑囚は94年10月に殺人容疑などで逮捕された。一貫して否認し、無罪を主張したが、99年9月に福岡地裁が死刑を言い渡し、最高裁で06年に確定した。死刑執行後の09年に妻が再審請求したが、14年に福岡地裁は棄却。最高裁も21年4月に妻による特別抗告を棄却した。妻は21年7月に第2次再審請求した。【志村一也】