王子ネピアを下請け法違反で勧告 マスク製造委託を一方的に打ち切り

新型コロナウイルスの感染拡大で下請け業者にマスクの製造を委託しながら、一方的に発注を打ち切ったとして、公正取引委員会は15日、下請け法違反(不当な給付内容の変更)で、紙製品製造「王子ネピア」(東京都中央区)に再発防止を勧告した。ネピアは下請け業者に補償金2622万円を既に支払った。
公取委によると、ネピアは王子ホールディングスの100%子会社で、新型コロナ禍に伴う需要増を受けて2020年12月、下請け業者1社にマスクの製造を委託した。
契約は21年度の1年間で、年間製造量も取り決めて発注内容を書面化し、ネピアは下請け業者から月ごとにマスクを受け取っていた。
しかし、新型コロナ禍の沈静化による需要の停滞や、ネピアの関連会社での製造が可能になったことから、21年12月下旬に「今後はマスクを製造しても受け取らない」と下請け業者に通告。それ以降に予定されていた発注分も一方的に取り消した。取り消し分は年間製造量の3割に及び、下請け業者は発注済みの資材や保管費用などを負担することになったという。
公取委は、一連の行為が下請け業者の利益を不当に害し、下請け業者に責任がないのに発注を取り消す下請け法違反に当たると判断した。下請け法違反の「不当な給付内容の変更」での勧告は初めてという。【渡辺暢】

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